譲渡担保権者の清算義務

(昭和46年3月25日最高裁)

事件番号  昭和42(オ)1279

 

この裁判では、

譲渡担保権者の清算義務について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき

譲渡担保形式の契約を締結し、

債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、

弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに

確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、

自己のため所有権移転登記を経由した債権者は、

債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、

目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによって

具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、

なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として

債務者に支払うことを要するのである。

 

そして、この担保目的実現の手段として、

債務者に対し右不動産の引渡ないし

明渡を求める訴を提起した場合に、

債務者が右清算金の支払と引換えに

その履行をなすべき旨を主張したときは、

特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は、

債務者への清算金の支払と引換えにのみ

認容されるべきものと解するのが相当である。

 

本件においては、

本件土地の譲渡担保契約の締結時における時価は

349万余円であるのに、これが債務金2,467,240円に

ひきあてられたものであることは、

原審の適法に認定したところであり、

しかも、前記特段の事情については、

原審の認定したところからは認められないのにかかわらず、

原審が、弁済期である昭和35年12月末日の経過とともに

本件土地の所有権は被上告人に確定的に帰したとして、

被上告人が右土地所有権に基づき、

同土地上にある上告人の本件建物を収去して

本件土地を被上告人に対し

明け渡すべきことを求める請求を認容したことは、

原判文上明らかである。

 

ところで、本件記録に徴すれば、上告人は、

原審において、本件土地の時価は坪当り金12,000円で、

しかもその土地は容易に処分しうる状態にあったのに、

坪当り僅か金4,000円で被上告人に

その所有権を移転する筈がないとして

被上告人の請求を争っているのであるから、

適切な釈明いかんによっては、

上告人において前記のような主張および

立証をなす余地があるにもかかわらず、

原審は、この点の配慮をすることなく、右請求を認容しているのであって、

右に説示したところに徴し、右原審の判断には

審理不尽の違法があるといわなければならず、

原判決は破棄を免れない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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