債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とすることができるか

(平成10年6月12日最高裁)

事件番号  平成8(オ)1307

 

この裁判では、

債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象と

することができるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、

債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、

詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。

 

けだし、詐害行為取消権の対象となるのは、

債務者の財産の減少を目的とする行為そのものであるところ、

債権の譲渡行為とこれについての譲渡通知とは

もとより別個の行為であって、後者は単に

その時から初めて債権の移転を債務者

その他の第三者に対抗し得る効果を生じさせるにすぎず、

譲渡通知の時に右債権移転行為がされたこととなったり、

債権移転の効果が生じたりするわけではなく、

債権譲渡行為自体が詐害行為を構成しない場合には、

これについてされた譲渡通知のみを

切り離して詐害行為として取り扱い、

これに対する詐害行為取消権の行使を

認めることは相当とはいい難いからである。

 

以上によれば、被上告人B2興業及び同B1が、

本件債権譲渡契約締結後に取得した

D製本所に対する各貸金債権に基づいて、

D製本所の上告人への本件代金債権の譲渡についてされた

本件譲渡通知を対象として、詐害行為による取消しを求める

反訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、

理由がないというべきである。

 

そして、前記事実関係によれば、上告人は、

D製本所から本件代金債権の譲渡を受けるとともに、

被上告人らに先立って対抗要件を具備したものであるから、

第一審判決添付別紙目録(二)記載の供託金につき

還付請求権を有することの確認を求める上告人の本訴請求は、

理由があることが明らかである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例コーナートップへ

民法初学者の部屋


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事