リラックス法学部 >民法初学者の部屋②債権各論・家族法(親族法・相続法) >婚姻の取消しについてわかりやすく解説

 

婚姻の取消しについてわかりやすく解説

婚姻が成立するには、

婚姻の意思があり、婚姻障害がなく、

婚姻の届出をする必要があります。

 

婚姻障害に該当するにも関わらず、

届出が受理されてしまった場合には、

婚姻は成立しますが、

「取消す事のできる婚姻」

となります。

 

今回はその取消す事のできる婚姻

について説明していきます。

 

 民法731条~民法736条の婚姻障害の規定に反する婚姻

(婚姻適齢、重婚、再婚禁止期間、

近親婚の禁止、直系姻族間の婚姻禁止、

養親子関係者間の婚姻禁止)

は取消す事ができます。

 

この取消しは各当事者だけでなく、

その親族又は検察官からも

その取消しを家庭裁判所に請求することができます。

 

ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、

これを請求することができません。

 

重婚、再婚禁止期間に違反した婚姻については、

当事者の配偶者又は前配偶者も、

その取消しを請求することができます。

 

なお、民法737条の未成年者が

父母の同意を得ずにした婚姻は、

受理されると有効に婚姻が成立し、

取消す事はできません。

 

婚姻適齢(男は18歳以上、女は16歳以上)に違反した婚姻は、

不適齢者が適齢に達したときは、

その取消しを請求することができません。

 

不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、

その婚姻の取消しを請求することができますが、

適齢に達した後に追認をしたときは

取消しを請求することはできません。

 

再婚禁止期間内に違反した婚姻は、

前婚の解消若しくは取消しの日から六箇月を経過し、

又は女が再婚後に懐胎したときは、

その取消しを請求することができません。

 

 

詐欺、強迫による婚姻の取消し

民法総則で、

詐欺、強迫による取消しがありましたが、

婚姻の取消しには独自の規定があります。

 

(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)

第七百四十七条  詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、

その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

2  前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、

若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、

又は追認をしたときは、消滅する。

 

取消しは「家庭裁判所に請求」して行うことと、

取消すことができる期間が

3ヶ月と非常に短いところに注意しましょう。

 

婚姻の取消しの効力は遡及せず、

将来に向かってのみ効力が生じます。

つまり、婚姻を取消しても、

「婚姻していなかった」という事にはならず、

婚姻していたという事実は残るという事です。

 

(婚姻の取消しの効力)

第七百四十八条  

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。

2  婚姻の時において

その取消しの原因があることを知らなかった当事者が、

婚姻によって財産を得たときは、

現に利益を受けている限度において、

その返還をしなければならない。

 

3  婚姻の時において

その取消しの原因があることを知っていた当事者は、

婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。

この場合において、相手方が善意であったときは、

これに対して損害を賠償する責任を負う。

 

婚姻の無効

婚姻の取消しとは別に、

婚姻の無効を主張できる場合もあります。

 

第七百四十二条  

婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。

一  人違いその他の事由によって

当事者間に婚姻をする意思がないとき

二  当事者が婚姻の届出をしないとき。

ただし、その届出が

第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、

婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

 

この場合、当事者だけでなく、

利害関係のある者は誰でも

婚姻の無効を主張することができます。

 

婚姻が無効となった場合は、

はじめから婚姻していなかったものとされます。

 

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