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【判例】特許権侵害差止等請求事件 (平成29年7月10日最高裁)

特許権侵害差止等請求事件

(平成29年7月10日最高裁)

事件番号  平成28(受)632

 

この裁判では、

 特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに

訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,

その後に特許法104条の4第3号所定の

特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等が確定したことを

理由に事実審の判断を争うことの許否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

特許権侵害訴訟において,その相手方は,

無効の抗弁を主張することができ,これに対して,

特許権者は,訂正の再抗弁を主張することができる。

 

特許法104条の3第1項の規定が,

特許無効審判手続による無効審決の確定を待つことを要せずに

無効の抗弁を主張することができるものとしているのは,

特許権の侵害に係る紛争をできる限り特許権侵害訴訟の手続内で

迅速に解決することを図ったものであると解される。

 

そして,同条2項の規定が,無効の抗弁が審理を不当に

遅延させることを目的として主張されたものと認められるときは,

裁判所はこれを却下することができるものとしているのは,

無効の抗弁について審理,判断することによって

訴訟遅延が生ずることを防ぐためであると解される。

 

以上の理は,訂正の再抗弁についても

異ならないものというべきである

(最高裁平成18年(受)第1772号同20年4月24日

第一小法廷判決・民集62巻5号1262頁参照)。

 

また,特許法104条の4の規定が,

特許権侵害訴訟の終局判決が確定した後に

同条3号所定の特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等

(以下,単に「訂正審決等」という。)が確定したときは,

当該訴訟の当事者であった者は当該終局判決に

対する再審の訴えにおいて訂正審決等が確定したことを

主張することができないものとしているのは,

上記のとおり,特許権侵害訴訟においては,

無効の抗弁に対して訂正の再抗弁を主張することが

できるものとされていることを前提として,

特許権の侵害に係る紛争を一回的に解決することを

図ったものであると解される。

 

そして,特許権侵害訴訟の終局判決の確定前であっても,

特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに

訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,

その後に訂正審決等の確定を理由として

事実審の判断を争うことを許すことは,

終局判決に対する再審の訴えにおいて訂正審決等が

確定したことを主張することを認める場合と同様に,

事実審における審理及び判断を

全てやり直すことを認めるに等しいといえる。

 

そうすると,特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに

訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,

その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは,

訂正の再抗弁を主張しなかったことについて

やむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り,

特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして,

特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして

許されないものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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