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【行政判例】裁決の取消訴訟の出訴期間 (平成24年11月20日最高裁)

裁決の取消訴訟の出訴期間

(平成24年11月20日最高裁)

事件番号  平成24(行ヒ)20

 

この裁判では、

裁決の取消訴訟の出訴期間について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

平成16年法律第84号(行政事件訴訟法の一部を改正する法律。

以下「平成16年改正法」という。)により,

国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点から,

出訴期間の定めによる法律関係の安定を考慮しつつ,

国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける機会を

適切に確保するために,

行政事件訴訟法14条1項所定の取消訴訟の

出訴期間が3か月から6か月に延長された一方,

平成16年改正法附則により,

土地収用に係る法律関係の早期安定の観点から,

土地収用法に「収用委員会の裁決に関する訴え

(次項及び第3項に規定する損失の補償に関する訴えを除く。)は,

裁決書の正本の送達を受けた日から

3月の不変期間内に提起しなければならない。」

との短期の出訴期間を定める特例規定(133条1項)が設けられた。

 

しかし,収用委員会の裁決についての審査請求に対する

裁決の取消訴訟の出訴期間については,

このような不服申立てに対する裁決につき

短期の出訴期間の特例を定める立法例がある中で,

土地収用法に同様の特例規定が設けられなかったことから,

その取消訴訟の出訴期間は,

行政事件訴訟法14条1項及び2項により

審査請求に対する裁決があったことを知った日から

6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内とされることとなった。

 

これは,審査請求がされた場合における審査請求に対する

裁決の取消訴訟については,

同法の一般規定による通例の出訴期間に服させ,

訴えの提起の要否等に係る検討の機会を

十分に付与するのが相当であるとされたものと解される。

 

他方,審査請求をすることができる場合

(行政庁が誤ってその旨を教示した場合を含む。以下同じ。)

において審査請求がされたときにおける

原処分の取消訴訟の出訴期間について,

平成16年改正法による改正前の行政事件訴訟法14条4項は,

同条1項及び3項(現行の同条1項及び2項に相当)

に対する起算点に限った特則として,

「第1項及び前項の期間は,…

その審査請求をした者については,

これに対する裁決があったことを知った日又は

裁決の日から起算する。」

と規定するにとどめていたが,

平成16年改正法による改正後の行政事件訴訟法14条3項は,

同条1項及び2項とは別個の規定として,

「処分又は裁決に係る取消訴訟は,

その審査請求をした者については,前2項の規定にかかわらず,

これに対する裁決があったことを知った日から

6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から

1年を経過したときは,提起することができない。」

と規定し,審査請求に対する

裁決の取消訴訟の出訴期間と起算点を含めて同一の期間と定めている。

 

行政事件訴訟法14条3項は,

審査請求をすることができる場合において

審査請求がされたときにおける

原処分の取消訴訟の出訴期間の一般原則を定めるものであり,

特別法の規定の解釈により例外的に

その短縮を認めることについては,

国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける

機会を適切に確保するという

同条の改正の趣旨に鑑み,慎重な考慮を要する。

 

土地収用法に,収用委員会の裁決につき

審査請求がされた場合における当該審査請求に対する

裁決の取消訴訟について短期の出訴期間を定める特例規定が

設けられなかったのは,上記のとおり,

当該審査請求に対する裁決の取消訴訟について

訴えの提起の要否等に係る検討の機会を通例と

同様に確保する趣旨であると解され,そうすると,

収用委員会の裁決につき審査請求がされなかった場合に

法律関係の早期安定の観点から

出訴期間を短縮する特例が定められているとしても,

収用委員会の裁決につき審査請求がされた場合における

収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間について,

これと必ずしも同様の規律に

服させなければならないというものではない。

 

収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において

審査請求がされたときにおける当該裁決の

取消訴訟の出訴期間と当該審査請求に対する

裁決の取消訴訟の出訴期間については,

両者とも行政事件訴訟法14条3項を適用して

同一の期間と解することができるところ,

むしろその解釈によることが,国民が行政事件訴訟による

権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するという

同条の改正の趣旨に沿ったものであるといえる。

 

のみならず,行政事件訴訟法20条は,

同法19条1項前段の規定により処分の取消しの訴えを

その処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して

提起する場合について,出訴期間の遵守については

処分の取消しの訴えは裁決の取消しの訴えを提起した時に

提起されたものとみなす旨を規定しており,これは,

同法10条2項が裁決の取消しの訴えにおいては

処分の違法を理由として取消しを求めることが

できないとしていることを看過するなどして

処分の違法を理由とする裁決の取消しの訴えを提起した者につき,

原処分の取消訴訟の出訴期間の徒過による

手続上の不利益を救済することに配慮したものと解されるところ,

審査請求をすることができる場合において

審査請求がされたときにおける

原処分の取消訴訟の出訴期間と裁決の取消訴訟の出訴期間につき,

仮に特別法により前者が後者より短期とされれば,

一定の範囲で行政事件訴訟法20条による救済がされない場合が

生ずることとなるのに対し,同法の一般規定のとおり

両者が同一の期間であれば,同条による救済が

常に可能となるのであって,

上記のように両者を同一の期間と解することが

同条の趣旨にも沿うものというべきである。

 

したがって,収用委員会の裁決につき

審査請求をすることができる場合において,

審査請求がされたときは,

収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間については,

土地収用法の特例規定(133条1項)が適用されるものではなく,

他に同法に別段の特例規定が存しない以上,

原則どおり行政事件訴訟法14条3項の一般規定が適用され,

その審査請求に対する裁決があったことを知った日から

6か月以内かつ当該裁決の日から

1年以内となると解するのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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