リラックス法学部 判例集 >法律行為 総則(90条~93条)

 

 

(公序良俗)

第九十条 

公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

 

民法90条関連判例

・営業の譲受人に対して、

譲渡人が自己の営業を

妨害する行為をしない旨を約束させても、

公序良俗に反しない。

(大判大7・5・10)

 

・企業は経済活動の一環としての

契約締結の自由を有し、

労働者を雇用するにあたり、

いかなる者を雇い入れるかは

原則として自由にこれを決定する事ができる。

特定の思想、信条を有する者を、

その事を理由に雇い入れを拒んでも、

これを当然に違法とすることはできない。

(最大判昭48・12・12)

(憲法の問題としても

よく取り上げられる三菱樹脂事件

 

・金地金の先物取引の委託が著しく

不公正な方法によって行われたような場合は、

商品取引法違反か否かを論ずるまでもなく、

公序良俗に反し、無効である。

(最判昭61・5・29)

 

・賭博のために使う事を知ってする

金銭消費貸借契約は、

公序良俗に反し、無効である。

(最判昭61・9・4)

 

・賭博の勝ち負けによって

生じた債権が譲渡され、

債務者が異議をとどめない承諾をした

場合であっても、債務者は原則として

本条違反による無効を主張する事ができる。

 (最判平9・11・11)

 

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(任意規定と異なる意思表示)

第九十一条 法律行為の当事者が法令中の

公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

 

民法91条関連 判例

・宿泊客がホテルに持ち込みフロントに

預けなかった物品、現金および貴重品について、

ホテル側にその種類および価額の明告をしなかった場合、

ホテルが責任を負わない特則

を設けたとしても、ホテル側に

故意または重大な過失がある場合には、

当該特則は適用されないと解するのが相当である。

(最判平15・2・28)

 

(任意規定と異なる慣習)

第九十二条 

法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、

法律行為の当事者がその慣習による意思を

有しているものと認められるときは、その慣習に従う。

 

民法92条関連判例

・慣習による意思の存在を主張する者は、

特にこれを立証する必要はない。

(大判大10・6・2)

 

 

(心裡留保)

第九十三条 意思表示は、表意者が

その真意ではないことを知ってしたときであっても、

そのためにその効力を妨げられない。

ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、

その意思表示は、無効とする。

 

民法93条関連判例

・効果意思のない養子縁組の無効は

絶対的なものであり、

本条但書によるものではない。

(最判昭23・12・23)

 

・代理人が自己また第三者の

利益を図るため権限内の行為をなしたときは、

相手方が代理人のその意図を知り、

または知る事ができた場合に限り、

本条但書の類推により、

本人はその責任を負わない。

(最判昭42・4・20)

 

・親権者がその法定代理権を濫用して

法律行為をした場合、その行為の相手方が権利の

濫用である事を知り、または知る事ができた時は

本条但書の規定を類推適用して、

その効果は子には及ばない。

 (最判平4・12・10)

 

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