行政国家とは、政府が社会の秩序維持にとどまらず、

社会の経済的・社会的問題に広く責任を負い、

一定の理念の実現を目指して国民の生活、経済活動の在り方に

積極的に介入し、その結果、

政府内の行政部の権力、行政組織が肥大化し、

社会の中で行政が大きな割合を占めるようになり、

立法部の権力に比べて

相対的に強化された状態になった国家をいいます。

(立法国家、消極国家、夜警国家と対比された概念)

 

19世紀末以降、自由主義経済の発達の中で、

恐慌や失業問題がおこり、社会的不平等、格差が大きくなり、

このような状況を是正するために、

国家が国民生活に積極的に介入することが

要請されることになりました。

 

その後、さらに国家には複雑・多様な役割が求めら、

それに応じた規模の行政組織と専門的な

知識・経験に基づいた判断が不可欠となり、

どの国家においても程度の差はあれど、

行政国家現象が見られると考えられます。

 

行政国家現象の問題点

行政国家現象の問題点としては、

次のようなものが考えられます。

 

・行政権が立法権や司法権より

優越した立場になり権力分立の立場からは、

健全な状況にないとされる点。

 

・政府が法律案を作成し、国会で制定させ、

官僚が法案の技術的な作成者として、

その法律の細目の決定も官僚が行う委任立法が主となり、

国会に対しても強い影響力を持つようになる点。

 

・行政権の拡大により、行政官僚の地位が高まり、

官僚が政治の実権を握る官僚政治となり、

政治腐敗、天下りなどの温床となる点。

 

・国の行政権が、許可権・認可権を有し、

国民や地方自治体を支配するようになる点。

 

・行政が国民の生活向上に介入し、

国民は利益の享受者として受動性を高め、

国民が政治的無関心に陥りやすくなる点。

 

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