リラックス法学部 >供託法をわかりやすく解説 >弁済供託の要件についてわかりやすく解説
弁済供託の要件
供託には弁済供託、保証供託、執行供託、
没取供託、保管供託の
5つの種類がありますが、
今回は弁済供託とその要件などについて
説明していきます。
まずは民法の494条の供託の
規定を見てみましょう。
第494条
債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、
弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、
債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。
弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
という事で、弁済供託をして、
債務を免れることができるのは、
◯受領拒否(弁済の受領を拒み)
◯受領不能(これを受領することができないとき)
◯債権者不確知(弁済者が過失なく債権者を確知することができないとき)
という事になります。
受領拒否を理由とする弁済供託をする場合は、
債権者が受領遅滞であることを要します。
また、受領拒否の場合は、
債権者が受領しない意思が明確であるときは、
受領の催告は不要で、
遅延損害金も発生しません。
受領不能の要件はわりと緩やかで、
例えば債権者の家に行って現実の提供をしたが
(弁済の準備をして弁済する旨を伝えたが)、
債権者の奥さんが出てきて
「主人は旅行に行ってます」
と言われ、弁済できなかった場合でも
「受領不能」ということで、
弁済供託をすることができます。
債権者不確知の場合は、
債権成立当初から、
債権者が不明の場合はすることはできません。
例えば無記名定期預金債権がその例ですが、
銀行は適法に支払い請求してきた者に
弁済をすればよいので、
供託をする必要がないということです。
続いてこちらの条文をご覧ください。
弁済供託をする場合、まず前提として、
債務が現存・確定している必要があります。
弁済供託は債務を消滅させるためにすることですから、
現存・確定していない債務を
消滅させることはできないからです。
弁済供託は債務を消滅させる効果がありますので、
債務を消滅させるには
利息や損害金などが発生している場合、
それらも元本とあわせて
全額提供する必要があります。
もし、全額を提供しない供託をしようとした場合は
供託の申請は却下されることになります。
債務の一部を供託をした場合、
供託が受理されてしまったとしても、
無効な供託となります。
また、不足額を追加で払う
という事もできません。
改めて全額を供託する必要があります。
ただ、間違って追加の供託が受理された場合に、
その全額について有効な供託とするという
判例もありますので、
「そういう判例もあるが、本来はこうである」
としっかり覚えておきましょう。
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