リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 第12話 代理人についてわかりやすく解説
「代理人」という言葉は
日常会話で使ったりしますが、
「民法上で代理人ではない場合」
もあったりします。
例えば、ただ単に
「これをあの人に届けてくれ」と頼まれて、
頼まれたモノを運ぶだけの場合は、
民法上は代理人ではなく「使者」
ということになります。
「使者」は本人(「これをあの人に届けてくれ」と頼んだ人)が
決定した意思を表示し、伝えるだけの人です。
では、民法上、「代理人」とは
どういう人かといいますと、
民法の代理の規定99条を見てみましょう。
(代理行為の要件及び効果)
第九十九条 代理人がその権限内において
本人のためにすることを示してした意思表示は、
本人に対して直接にその効力を生ずる。
2 前項の規定は、第三者が代理人に対してした
意思表示について準用する。
「本人」とは代理人に対して
依頼した人のことです。
「本人のためにすることを示して」
意思表示をし、本人に対して
直接その効力を生じさせる者をいいます。
例えば、あなたが誰かを訴えたい時に、
法律知識もなく、
何をどうすればいいかわからない時に、
弁護士に依頼したとします。
弁護士はあなたの代理人として行動し、
相手方や裁判所に対して発言します。
この弁護士の発言や行動の結果が、
有利なものも不利なものも
直接あなたに生じるということです。
ちなみに裁判上でも裁判外でも、
紛争当事者の代理人となって相手方と交渉したりするのは
弁護士でなければいけません。
弁護士以外がやると
弁護士法違反になってしまうので、気をつけましょう。
と、このように紛争の代理人になるには
弁護士でなければなりませんが、
何の資格が無くても代理人になれる場面は
たくさんあります。
ギターでも不動産でも、
全くのズブの素人が購入を考えるときに
信頼できる通(ツウ)に、
「このぐらいの金額で手頃なのを買ってきてくれ」
と頼んで、代理人に選んでもらうなどです。
このように頼んで代理人になる場合を
「任意代理」といいます。
もうひとつ「法定代理」というものがあり、
今までも何度か登場した「法定」
という言葉ですが、「法が定めた」代理人です。
すでに学習した通り、未成年者の親、
成年被後見人の成年後見人などが、
法律上定められた代理人となります。
どちらにしても代理人が本人のためにした
法律行為の効果は本人に帰属します。
代理というシステムは複雑な現代社会において、
必要不可欠な制度ですが、
いろいろトラブルのタネにもなります。
このトラブルのタネが、
民法の学習において重要になります。
民法では、主に代理人の相手方を
どう保護するかといったことを規定しています。
代理人が代理権の範囲を超えて
(おせっかいでいらない事まで)
取引した場合、
それも代理権の範囲内と信頼して
取引した相手方はどうなるのか?
そもそも何の代理権もない人物が
代理人を名乗って、取引した場合、
代理人と信頼して取引した相手方はどうなるのか?
今回は問題提起にとどめます。
今回は代理人の大ざっぱなイメージを
つかんでいただければOKです。
今後代理に関するルールやトラブルの規定を
じっくりと説明していきたいと思います。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事