リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 第4話 マキノの心裡留保
大学二年生になったヨネヤマは
誕生日をむかえ20歳になりました。
小太りの友人マキノがニヤッニヤしながら
「誕生日プレゼントに1億円あげよう」
と、センスのカケラもない冗談を言ってきました。
このマキノの発言は法律的に
意味があるのでしょうか?
ここで民法93条を見てみましょう。
(心裡留保)
第九十三条
意思表示は、表意者がその真意ではないことを
知ってしたときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方が表意者の真意を知り、
又は知ることができたときは、
その意思表示は、無効とする。
「表意者がその真意ではないことを
知ってしたときであっても」
と、さっそくややこしいですが、
簡単な言い方に翻訳すると
「その気がない事を自覚しながら」
と考えていただければ、結構です。
つまり今回で言えば
「マキノはその気がないのに
「1億円あげる」と言ったとしても」
というふうに、考えてください。
そして続きです。
「そのためにその効力を妨げられない。」
効力を妨げられないという事は、
「効力が生じる」
という事です。
つまり、マキノは発言(意思表示)に
責任を持つ事になり、
ヨネヤマに1億円をあげなければならない
というのが法律的なとらえ方になるわけです。
ただ、条文にはまだ続きがありました。
「ただし書き」です。
ただし、相手方が表意者の真意を知り、
又は知ることができたときは、
その意思表示は、無効とする。
相手方とはヨネヤマの事です。
ヨネヤマがマキノの真意を知っていた場合、
あるいは、知る事ができた場合は
無効となります。
つまり今回、ヨネヤマはマキノの発言が
明らかに冗談であるとわかっていたので、
マキノの発言は無効となります。
※今回は「無効」です。
「取消し」ではありません。
前回の制限行為能力者の行為は
「取消し」できるというルールでした。
心裡留保の場合は「無効」です。
よーく覚えておいてください。
つまり心裡留保とは、もの凄く簡単にいいますと、
「ウソを言っても、有効。
ただし相手がウソと知っていたか、
知ることができたときは無効」
という話です。
「知ることができたとき」とは、
「仮に知らなかったとしても、
一般人の感覚があれば普通わかるでしょ」
というようなケースです。
要は裁判官が
「普通わかるでしょ」
と思った場合とお考えください。
難しい言葉で言ってるわりに内容はもの凄い単純で、
しょーもないなーと思ったかもしれませんが、
これから出てくる法律も
たいていそんなものです(笑)
ですので、これからもリラックスしてお読みいただければ幸いです。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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