国道上に駐車中の故障した大型貨物自動車の放置と道路管理の瑕疵
(昭和50年7月25日最高裁)
事件番号 昭和47(オ)704
この裁判では、
国道上に駐車中の故障した大型貨物自動車の放置と
道路管理の瑕疵について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、
もって一般交通に支障を及ぼさないように
努める義務を負うところ(道路法42条)、
前記事実関係に照らすと、
同国道の本件事故現場付近は、
幅員7・5メートルの道路中央線付近に故障した
大型貨物自動車が87時間にわたって放置され、
道路の安全性を著しく欠如する状態であったにもかかわらず、
当時その管理事務を担当するI土木出張所は、
道路を常時巡視して応急の事態に対処しうる
看視体制をとっていなかったために、
本件事故が発生するまで右故障車が道路上に
長時間放置されていることすら知らず、
まして故障車のあることを知らせるためバリケードを設けるとか、
道路の片側部分を一時通行止めにするなど、
道路の安全性を保持するために必要とされる措置を
全く講じていなかつたことは明らかであるから、
このような状況のもとにおいては、
本件事故発生当時、同出張所の道路管理に
瑕疵があったというのほかなく、
してみると、本件道路の管理費用を負担すべき上告人は、
国家賠償法2条及び3条の規定に基づき、
本件事故によって被上告人らの被った損害を
賠償する責に任ずべきであり、
上告人は、道路交通法上、警察官が
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、
道路の交通に起因する障害の防止に資するために、
違法駐車に対して駐車の方法の変更・場所の移動などの
規制を行うべきものとされていること(道路交通法1条、51条)を理由に、
前記損害賠償責任を免れることは
できないものと解するのが、相当である。
したがって、これと同旨の原審の判断は、
正当として是認することができる。
原判決に所論の違法はなく、
論旨は採用することができない。
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