老人デイサービスセンターの利用者が送迎車から降車する際に負傷した事故
(平成28年3月4日最高裁)
事件番号 平成27(受)1384
この裁判では、
老人デイサービスセンターの利用者が
当該センターの送迎車から降車し
着地する際に負傷したという事故が,
当該送迎車に係る自動車保険契約の搭乗者傷害特約にいう
当該送迎車の運行に起因するものといえるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
本件事故は,Aが本件センターの職員の介助により
本件車両から降車した際に生じたものであるところ,
本件において,上記職員が降車場所として危険な場所に
本件車両を停車したといった事情はない。
また,Aが本件車両から降車する際は,上記のとおり,
通常踏み台を置いて安全に着地するように
本件センターの職員がAを介助し,
その踏み台を使用させる方法をとっていたが,
今回も本件センターの職員による介助を受けて降車しており,
本件車両の危険が現実化しないような
一般的な措置がされており,その結果,
Aが着地の際につまずいて転倒したり,足をくじいたり,
足腰に想定外の強い衝撃を受けるなどの出来事はなかった。
そうすると,本件事故は,本件車両の運行が
本来的に有する危険が顕在化したものである
ということはできないので,
本件事故が本件車両の運行に起因するものとはいえない。
Aの降車の際には本件センターの職員の介助のみでなく,
踏み台を使用することが安全な着地のために必要であり,
上記職員がその点を予見すべき状況にあったといえる場合には,
本件センターに対する安全配慮義務違反を理由とする
損害賠償請求等の可否が問題となる余地が生ずるが,
このことは,本件における運行起因性の有無とは
別途検討されるべき事柄である。
本件事故が本件センターの職員が
安全配慮義務を怠ったことから
発生したものであるとして直ちに
本件における運行起因性を否定しており,
この点の説示に問題はあるが,
結論自体は是認することができる。
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