取締役会の招集につき一部の取締役に対する通知もれがあった場合と取締役会の決議の効力

(昭和44年12月2日最高裁)

事件番号  昭和43(オ)1144

 

この裁判では、

取締役会の招集につき一部の取締役に対する

通知もれがあった場合と取締役会の決議の効力について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

取締役会の開催にあたり、取締役の一部の者に対する

招集通知を欠くことにより、その招集手続に瑕疵があるときは、

特段の事情のないかぎり、右瑕疵のある招集手続に基づいて

開かれた取締役会の決議は無効になると解すべきであるが、

この場合においても、その取締役が出席しても

なお決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるときは、

右の瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、

決議は有効になると解するのが相当である。

 

しかるところ、記録に徴すれば、第一審判決は、

右の法理に基づき、被上告会社取締役会において

本件取引に対する承認決議がなされた際の事情を認定したうえ、

右取締役会に出席しなかつた訴外Dおよび同Eに対しては

取締役会の招集通知がなされなかつたが、

右Dはいわば名目的に取締役に名を連ねているにすぎず、

したがって、同人らに対して適法を招集通知がなされ、

同人らが取締役会に出席しても、

前記承認の意思決定に影響がなかったものと認められるとし、

本件承認決議が有効になされたものとの判断を示したところ、

上告人は、原審において右判断を援用し、

本件決議の有効性を主張していることが認められるから、

上告人は、原審において前記特段の事情を

主張していたものと解すべきである。

 

しかるに、原判決は、本件取締役会の開催については、

取締役の一人であるDに対し招集通知がなされなかったこと

(Eに対する招集手続の有無については確定するところがない。)、

DおよびEが前記取締役会に出席しないまま

前記承認決議がなされたこと、右両名がのちに右決議内容を

承認した事実は認められないことを確定しただけで、

上告人の前記主張については格別の判断を示さないまま

本件承認決議は無効であると断定し、

これが有効であることを前提とする

上告人の請求を排斥しているのである。

 

してみれば、原判決には当事者の主張に対する判断を

遺脱した違法があるが、右主張の成否は

原判決の結論に影響を及ぼすものであるから、

同旨をいう論旨は理由があり、

その余の論旨について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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