設立登記未了の会社の代表取締役(発起人)の開業準備行為
(昭和33年10月24日最高裁)
事件番号 昭和32(オ)483
この裁判では、
設立登記未了の会社の代表取締役(発起人)の
開業準備行為について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
原審の確定した事実によれば、要するに、上告人らは、
かねてA整練株式会社の設立を計画発起し、昭和30年9月12日に至り
その設立登記を了したものであるが、上告人は、
昭和30年3月、未だその設立手続未了で設立の登記をしていない
右会社の代表取締役として、
被上告人との間に本件契約を締結したというのである。
而して、原審判示の本件契約は、
会社の設立に関する行為といえないから、
その効果は、設立後の会社に当然帰属すべきいわれはなく、結局、
右契約は上告人が無権代理人としてなした行為に
類似するものというべきである。
尤も、民法117条は、元来は実在する他人の代理人として
契約した場合の規定であって、
本件の如く未だ存在しない会社の代表者として
契約した上告人は、本来の無権代理人には当らないけれども、
同条はもっぱら、代理人であると信じて
これと契約した相手方を保護する趣旨に出たものであるから、
これと類似の関係にある本件契約についても、
同条の類推適用により、前記会社の代表者として
契約した上告人がその責に任ずべきものと解するを相当とする。
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