破棄判決の拘束力を有する判断の範囲
(昭和43年10月25日最高裁)
事件番号 昭和41(あ)108
この裁判では、
破棄判決の拘束力を有する判断の範囲について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
破棄判決の拘束力は、破棄の直接の理由、
すなわち原判決に対する
消極的否定的判断についてのみ生ずるものであり、
その消極的否定的判断を裏付ける
積極的肯定的事由についての判断は、
破棄の理由に対しては縁由的な関係に立つにとどまり
なんらの拘束力を生ずるものではないから、
本件において、二次上告審判決の事実判断の拘束力は、
右①Aの供述及び②被告人らの警察自白の信用性を否定した
二次控訴審判決の認定を否定する範囲内に限定されるものであり
(右③の被害者夫婦の死亡時刻に関する説示は、
二次控訴審判決の認定の仕方を非難するにすぎない)、
二次上告審判決が、さらに右Aの供述及び被告人らの
警察自白の信用性を積極的に肯定すべき事由としてあげるところは、
破棄の理由に対し縁由的事由にすぎないものであるから、
拘束力を有していないものと解すべきである。
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