財田川事件

(昭和51年10月12日最高裁)

事件番号  昭和49(し)118

 

この裁判では、

刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」か否かの

判断基準について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

刑訴法435条6号にいう

「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは、

確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ、

その認定を覆すに足りる蓋然性のある

証拠をいうものと解すべきであり、

右の明らかな証拠であるかどうかは、

もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に

提出されていたとするならば、

はたしてその確定判決においてされたような

事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、

当の証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきであり、

この判断に際しても、再審開始のためには

確定判決における事実認定につき合理的疑いを

生ぜしめれば足りるという意味において

「疑わしいときは被告人の利益に」という

刑事裁判における鉄則が適用されるものである

(当裁判所昭和50年5月20日第一小法廷決定・

刑集29巻5号177頁)。

 

そして、この原則を具体的に適用するにあたっては、

確定判決が認定した犯罪事実の不存在が確実であるとの

心証を得ることを必要とするものではなく、

確定判決における事実認定の正当性についての疑いが

合理的な理由に基づくものであることを必要とし、かつ、

これをもって足りると解すべきであるから、

犯罪の証明が十分でないことが明らかになった場合にも

右の原則があてはまるのである。

 

そのことは、単なる思考上の推理による可能性に

とどまることをもつて足れりとするものでもなく、また、

再審請求をうけた裁判所が、特段の事情もないのに、

みだりに判決裁判所の心証形成に介入することを

是とするものでもないことは勿論である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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