マジックホン事件(昭和61年6月24日最高裁)

 

Xは会社設立の際にお世話になったAから、

電話回線に取り付けると、

電話をかけた相手方の電話料金が徴収されない

仕組みとなっている機械「マジックホン」をすすめられ、

14万4,000円でこれを2台購入しました。

 

Xは試しに、従業員に公衆電話から電話させてみると、

通話終了後に公衆電話から10円が返戻され、

本当にAの説明どおりの性能があることを知りました。

 

しかし、Xは

「これは法律的にマズイのではないか?」と

不安を抱き、弁護士に相談したところ、

「使用しない方がいい」と言われ、直ちにマジックホンを取り外して、

文字通りマジックホンをお蔵入りにして、その後使用することはありませんでした。

 

そしてXは後に、有線電気通信妨害罪、

刑法233条(平成3年法律31号による改正前のもの)の

偽計業務妨害罪で起訴されました。

 

裁判所の見解

たとえ、被告人がただ一回通話を試みただけで

同機器を取り外した等の事情があったにせよ、

それ故に、行為の違法性が阻却させるものではない。

 

当サイトの管理人ヨネヤマから一言

本件は、マジックホン1回の使用で損害額10円ですが、

本判例では、有線電気通信妨害罪、偽計業務妨害罪は

いわゆる危険犯であるので、これを取り付けた時点で犯罪が成立するとし、

通話の有無・損害の多寡を問わず、

両罪が成立するという考え方をしています。

 

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