国家賠償法1条1項

(平成27年3月5日最高裁)

事件番号  平成25(受)1436

 

この裁判は、

 公害紛争処理法に基づく調停において,

調停委員会が第1回調停期日で調停を打ち切るなどした措置が

国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

公害調停は,当事者間の合意によって公害に係る紛争を解決する手続であり,

当事者に手続への参加を求める方法,

合意に向けた各当事者の意向の調整,法36条1項に基づく

調停の打切りの選択等の手続の運営ないし進行については,

手続を主宰する調停委員会が,当該紛争の性質や内容,

調停の経過,当事者の意向等を踏まえ総合的に判断すべきものであって,

その判断には調停委員会の広範な裁量が認められるものというべきである。

 

前記事実関係によれば,本件調停に係る紛争は,

平成3年から同7年までに処分された産業廃棄物及び

平成11年頃以降に投棄された残土に係るもので,

当該産業廃棄物等に対する被申請人らの関与の態様や程度は

様々である上,被申請人らはいずれも,

本件委員会からの事前の意見聴取に対し,

調停に応じない旨の意思を明確にしていたものである。

 

また,本件委員会が被申請人らに送付した

期日通知書に本件記載をしたのは,

上記意思を明確にしていた被申請人らに対し,

手続への参加を強制されたとの誤解を与えないようにとの

配慮に基づくものというのである。

 

そして,本件委員会は,上記紛争の性質や内容に加えて,

本件調停の第1回調停期日に被申請人らが

いずれも出席しなかったことをも踏まえ,

上記紛争について当事者間に合意の成立の見込みがないと認めた結果,

続行期日を定めたり,被申請人らに対し

法32条に基づく出頭の要求をしたりすることなく,

法36条1項に基づき本件調停を打ち切ったものである。

 

このような事情の下においては,本件委員会が,

被申請人らに対し本件記載のある期日通知書を送付し,

第1回調停期日において本件調停を打ち切った措置は,

その裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず,

国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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