破産法162条1項の規定による否認権行使の対象

(平成29年12月19日最高裁)

事件番号  平成28(受)1797

 

この裁判では、

 第三債務者が差押債務者に対する弁済後に

差押債権者に対してした更なる弁済は,

差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,

破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

破産法162条1項の「債務の消滅に関する行為」とは,

破産者の意思に基づく行為のみならず,

執行力のある債務名義に基づいてされた行為であっても,

破産者の財産をもって債務を消滅させる効果を生ぜしめるものであれば,

これに含まれると解すべきである

(最高裁昭和38年(オ)第916号同39年7月29日

第二小法廷判決・裁判集民事74号797頁参照)。

 

しかるに,債権差押命令の送達を受けた第三債務者が,

差押債権につき差押債務者に対して弁済をし,

これを差押債権者に対して対抗することができないため

(民法481条1項参照)に差押債権者に対して更に弁済をした後,

差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,

前者の弁済により差押債権は既に消滅しているから,

後者の弁済は,差押債務者の財産をもって

債務を消滅させる効果を生ぜしめるものとはいえず,

破産法162条1項の「債務の消滅に関する行為」に当たらない

 

したがって,上記の場合,

第三債務者が差押債権者に対してした弁済は,

破産法162条1項の規定による

否認権行使の対象とならないと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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