介護保険料の特別徴収の合憲性

(平成18年3月28日最高裁)事件番号  平成16(オ)1365

 

所得が生活保護基準以下で、市町村税が非課税とされるXが、

市が条例に基づいて、賦課処分を行い、老齢基礎年金から

介護保険料の特別徴収されたことについて、

本件賦課処分、特別徴収が憲法14条、25条に違反するとして、

市と国に対して国家賠償請求を提起しました。

 

最高裁判所の見解

介護保険法施行令38条は、

その保険料率を被保険者本人及び世帯の負担能力に応じて

5段階に区分するとともに、いわゆる境界層該当者

(本来適用されるべき段階の保険料を負担すれば

生活保護法6条2項に規定する要保護者となるが、

より負担の低い段階の保険料の負担であれば

同法2条に規定する保護を必要としない状態となる者)

に対する負担軽減規定を設けている。

 

また、介護保険法142条は、

市町村は、条例で定めるところにより、

特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、

又はその徴収を猶予することができる旨を規定し、これを受けて、

本件条例12条1項,13条1項は,第1号被保険者等が

災害等により著しい損害を受けるなどした場合における

保険料の徴収猶予及び減免を規定している。

 

生活保護受給者については、生活扶助として

介護保険の保険料の実費が加算して支給され、

介護扶助として所定のサービスを受けることが

できるものとされている。

 

以上のとおり、低所得者に対して

配慮した規定が置かれているのであり、

また、介護保険制度が国民の共同連帯の理念に基づき

設けられたものであることにかんがみると、

本件条例が、介護保険の第1号被保険者のうち,

生活保護法6条2項に規定する要保護者で

地方税法(平成16年法律第17号による改正前のもの)295条により

市町村民税が非課税とされる者について、

一律に保険料を賦課しないものとする旨の規定又は

保険料を全額免除する旨の規定を設けていないとしても、

それが著しく合理性を欠くということはできないし、また、

経済的弱者について合理的な理由のない

差別をしたものということはできない

 

したがって、本件条例が上記の規定を設けていないことは、

憲法14条、25条に違反しない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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