民法750条の再婚禁止期間の合憲性

(平成27年12月16日最高裁)

事件番号  平成25(オ)1079

 

 

最高裁判所の見解

民法772条は,婚姻の成立の日から200日を経過した後又は

婚姻の解消等の日から300日以内に生まれた子を

当該婚姻に係る夫の子と推定していることから,

前婚の解消等の日から300日以内で,かつ,

後婚の成立から200日の経過後に子が生まれる事態を

避ければ父性の推定の重複を回避することができる。

 

そのためには,100日の再婚禁止期間を設ければ足りるから,

少なくとも,本件規定のうち

100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分

(以下「100日超過部分」という。)は,

女性に対し婚姻の自由の過剰な制約を課すものであり,

合理性がない

 

憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定が,

事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り,

法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきことは,

当裁判所の判例とするところである

(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日

大法廷判決・民集18巻4号676頁,

最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・

刑集27巻3号265頁等)。

 

そして,本件規定は,女性についてのみ

前婚の解消又は取消しの日から

6箇月の再婚禁止期間を定めており,これによって,

再婚をする際の要件に関し男性と女性とを区別しているから,

このような区別をすることが事柄の性質に応じた

合理的な根拠に基づくものと認められない場合には,

本件規定は憲法14条1項に違反することになると

解するのが相当である。

 

本件規定のうち100日超過部分は,

遅くとも上告人が前婚を解消した日から

100日を経過した時点までには,

婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な

立法裁量の範囲を超えるものとして,

その立法目的との関連において合理性を欠くものになっていたと解される。

 

以上の次第で,本件規定のうち100日超過部分が

憲法24条2項にいう両性の本質的平等に

立脚したものでなくなっていたことも明らかであり,

上記当時において,同部分は,

憲法14条1項に違反するとともに,

憲法24条2項にも違反するに至っていたというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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