文書提出命令(刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」)

(平成16年5月25日最高裁)

事件番号  平成15(許)40

 

この裁判では、

刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

刑訴法47条は,その本文において,

「訴訟に関する書類は,公判の開廷前には,

これを公にしてはならない」と定め,そのただし書において,

「公益上の必要その他の事由があって,

相当と認められる場合は,この限りでない」と定めている。

 

同条所定の「訴訟に関する書類」には,

本件各文書のように,捜査段階で作成された

供述調書で公判に提出されなかったものも含まれると解すべきである。

 

同条本文が「訴訟に関する書類」を公にすることを

原則として禁止しているのは,それが公にされることにより,

被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーが侵害されたり,

公序良俗が害されることになったり,又は捜査,

刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が

発生するのを防止することを目的とするものであること,

同条ただし書が,公益上の必要その他の事由があって,

相当と認められる場合における

例外的な開示を認めていることにかんがみると,

同条ただし書の規定による「訴訟に関する書類」

を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は,

当該「訴訟に関する書類」を公にする目的,

必要性の有無,程度,公にすることによる被告人,

被疑者及び関係者の名誉,プライバシーの侵害等の上記の

弊害発生のおそれの有無等諸般の事情を

総合的に考慮してされるべきものであり,

当該「訴訟に関する書類」を保管する者の

合理的な裁量にゆだねられているものと解すべきである。

 

そして,民事訴訟の当事者が,

民訴法220条3号後段の規定に基づき,

刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に

該当する文書の提出を求める場合においても,

当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが,

当該文書が法律関係文書に該当する場合であって,

その保管者が提出を拒否したことが,

民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が

開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,

その裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであると認められるときは,

裁判所は,当該文書の提出を命ずることが

できるものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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