抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令
(平成27年12月17日最高裁)
事件番号 平成27(行フ)1
この裁判では、
抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令を受けた者が,
当該命令において定められた期間の経過後に
これを納付した場合の抗告状の効力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
抗告提起の手数料の納付を命ずる
裁判長の補正命令を受けた者が,
当該命令において定められた期間内に
これを納付しなかった場合においても,
その不納付を理由とする抗告状却下命令が確定する前に
これを納付すれば,その不納付の瑕疵は補正され,
抗告状は当初に遡って有効となるものと解される(最高裁昭和29年(オ)
第858号同31年4月10日第三小法廷判決・
民集10巻4号367頁,最高裁昭和35年(オ)
第1065号同37年11月30日
第二小法廷判決・裁判集民事63号365頁等参照)。
記録によれば,抗告人は,訴訟救助却下決定に対する
即時抗告の抗告状に所定の印紙を貼付していなかったため,
原審裁判長から,抗告提起の手数料を命令送達の日から
14日以内に納付することを命ずる補正命令を受けたが,
当該命令で定められた期間内に上記手数料を
納付しなかったこと,そのため,
原審裁判長は,抗告人に対して
抗告状却下命令(原命令)を発することとし,
その告知のため,原命令の謄本が抗告人に宛てて発送されたが,
抗告人は,その送達を受ける前に
上記手数料を納付したことが認められる。
そして,上記手数料の納付前に原命令が抗告人に
告知された事実は記録上認められない。
以上によれば,抗告人は,原命令が確定する前に
上記手数料を納付したものであるから,
その不納付の瑕疵は補正され,抗告人の上記抗告状は
当初に遡って有効となったものであり,
これを却下した原命令は失当であることに帰する。
論旨は理由があり,原命令は破棄を免れない。
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