訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に減縮後の請求に係る訴えの却下の許否

(平成27年9月18日最高裁)

事件番号  平成25(受)2331

 

この裁判では、

 訴訟の目的である金銭債権の数量的な

一部に対応する訴え提起の手数料につき

訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,

請求が上記数量的な一部に減縮された後の訴えを

却下することの許否について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

金銭債権の支払を請求する訴えの提起時に

された訴訟上の救助の申立てに対し,

当該債権の数量的な一部について

勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として,

その部分に対応する訴え提起の手数料につき

訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,

請求が上記数量的な一部に減縮されたときは,

訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に

減縮後の請求に係る訴えを却下することは

許されないと解すべきである。

その理由は,次のとおりである。

 

訴えに係る金銭債権の数量的な一部について

勝訴の見込みがないとはいえず,かつ,

これに対応する訴え提起の手数料を支払う資力がないか,

又はその支払により生活に著しい支障を生ずる場合には,

当該部分に対応する訴え提起の手数料につき

訴訟上の救助を付与する決定(以下「一部救助決定」という。)を

することができるが,これは,

当該債権の数量的な一部に限ってではあるものの,

正当な権利を有する可能性がありながら

無資力のために十分な保護を受けられない者を

社会政策的な観点から救済するという

訴訟上の救助の制度趣旨に沿うものといえる。

 

そうすると,訴え提起時にされた訴訟上の救助の申立てに対する

一部救助決定には,勝訴の見込みがないとはいえないとされた

数量的な一部に請求が減縮された場合,これに対応する訴え提起の

手数料全額の支払を猶予し,その結果,訴え提起時の請求に対応する

その余の訴え提起の手数料の納付がされなくても,

減縮後の請求に係る訴えを適法とする趣旨が

含まれるものというべきである。

 

このように解しないと,上記のとおり請求が減縮された場合であっても,

一部救助決定をした裁判所は,勝訴の見込みがないとされた部分を含む

訴え提起時の請求に対応する訴え提起の手数料が

納付されない限り,減縮後の請求に係る訴えをも

不適法であると判断せざるを得ないこととなり,

そもそも一部救助決定をすることを認めた

訴訟上の救助の制度趣旨に反することとなる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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