告示により一括して指定する方法でされた、みなし道路の指定と抗告訴訟の対象
(平成14年1月17日最高裁)
事件番号 平成10(行ヒ)49
この裁判では、
告示により一括して指定する方法でされた、
みなし道路の指定と抗告訴訟の対象について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
本件告示は,幅員4m未満1.8m以上の道を一括して
2項道路として指定するものであるが,これによって,
法第3章の規定が適用されるに至った時点において
現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道のうち,
本件告示の定める幅員1.8m以上の条件に
合致するものすべてについて
2項道路としての指定がされたこととなり,
当該道につき指定の効果が生じるものと解される。
原判決は,特定の土地について個別具体的に
2項道路の指定をするものではない
本件告示自体によって直ちに
私権制限が生じるものではない旨をいう。
しかしながら,それが,本件告示がされた時点では
2項道路の指定の効果が生じていないとする趣旨であれば,
結局,本件告示の定める条件に合致する道であっても,
個別指定の方法による指定がない限り,
特定行政庁による2項道路の指定がないことに帰することとなり,
そのような見解は相当とはいえない。
そして,本件告示によって
2項道路の指定の効果が生じるものと解する以上,
このような指定の効果が及ぶ個々の道は2項道路とされ,
その敷地所有者は当該道路につき道路内の建築等が制限され(法44条),
私道の変更又は廃止が制限される(法45条)等の
具体的な私権の制限を受けることになるのである。
そうすると,特定行政庁による2項道路の指定は,
それが一括指定の方法でされた場合であっても,
個別の土地についてその本来的な効果として
具体的な私権制限を発生させるものであり,
個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。
したがって,本件告示のような
一括指定の方法による2項道路の指定も,
抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解すべきである。
そして,本件訴えは,本件通路部分について,
本件告示による2項道路の指定の不存在確認を求めるもので,
行政事件訴訟法3条4項にいう
処分の存否の確認を求める抗告訴訟であり,
同法36条の要件を満たすものということができる。
以上によれば,本件訴えは適法なものとすべきところ,
これと異なる見解に立って本件訴えを
不適法として却下した原判決には,
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,
原判決は破棄を免れない。
そして,本案について更に審理を尽くさせるため,
本件を原審に差し戻すこととする。
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