登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした請求に

対する登記機関の拒否通知と抗告訴訟の対象

(平成17年4月14日最高裁)

事件番号  平成13(行ヒ)25

 

この裁判では、

登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に

基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知と

抗告訴訟の対象について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

登録免許税については,納税義務は登記の時に成立し,

納付すべき税額は納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定する

(国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)

15条2項14号,3項6号)。

 

そこで,登録免許税の納税義務者は,

過大に登録免許税を納付して

登記等を受けた場合には,そのことによって

当然に還付請求権を取得し,同法56条,74条により

5年間は過誤納金の還付を受けることができる。

 

登録免許税法31条1項及び2項の趣旨は,

上記のとおり,過誤納金の還付が円滑に行われるようにするために

簡便な手続を設けることにある。同項が上記の請求につき

1年の期間制限を定めているのも,

登記等を受けた者が上記の簡便な手続を利用するについて

その期間を画する趣旨であるにすぎないのであって,

当該期間経過後は還付請求権が存在していても

一切その行使をすることができず,

登録免許税の還付を請求するには専ら

同項所定の手続によらなければならないこととする手続の

排他性を定めるものであるということはできない。

 

したがって,登記等を受けた者は,

過大に登録免許税を納付した場合には,

同項所定の請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても,

国税通則法56条に基づき,

登録免許税の過誤納金の還付を請求することが

できるものというべきである。

 

そうすると,同項が登録免許税の過誤納金の還付につき

排他的な手続を定めていることを理由に,

同項に基づく還付通知をすべき旨の請求に対してされた

拒否通知が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると

解することはできないといわざるを得ない。

 

しかしながら,上述したところにかんがみると,

登録免許税法31条2項は,登記等を受けた者に対し,

簡易迅速に還付を受けることができる手続を

利用することができる地位を保障しているものと解するのが相当である。

 

そして,同項に基づく還付通知を

すべき旨の請求に対してされた拒否通知は,

登記機関が還付通知を行わず,

還付手続を執らないことを明らかにするものであって,

これにより,登記等を受けた者は,

簡易迅速に還付を受けることができる手続を

利用することができなくなる。

 

そうすると,上記の拒否通知は,

登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を

否定する法的効果を有するものとして,

抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。

 

以上述べたところと異なる見解に立って本件訴えを

不適法として却下すべきものとした原審の判断には,

法令の解釈適用を誤った違法があるものといわざるを得ない。

 

しかしながら,被上告人は,国を相手方とし,

前記のとおり納付した登録免許税の還付請求に係る訴えを

本件訴えに併合して提起したところ,原審は,

上記のとおり本件訴えを却下すべきものとするとともに,

被上告人の国に対する還付請求については

これを棄却する旨の判決を言い渡し,

同判決のうち上記の請求を棄却する部分が確定したことは

記録上明らかであるから,被上告人が前記のとおり

納付した登録免許税の還付を受けることができる地位にないことは

既判力をもって確定されている

 

したがって,被上告人は,本件訴えにおいて

本件拒否通知を取り消す旨の判決を得たとしても,

これによって上記の還付を受けることができる地位を回復する余地はないから,

本件訴えにつき訴えの利益を有するものとすることはできない

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

行政判例コーナー

行政法の解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事