強盗殺人未遂罪

(昭和61年11月18日最高裁)

事件番号  昭和60(あ)1198

 

この裁判では、甲と乙が、当初は丙を殺害して

その所持する覚せい剤を強取することを計画したが、

その後計画を変更し、共謀の上、まず甲において、

覚せい剤取引の斡旋にかこつけて

丙をホテルの一室に呼び出し、

別室に買主が待機しているかのように装って、

覚せい剤の売買の話をまとめるためには

現物を買主に見せる必要がある旨

申し向けて丙から覚せい剤を受け取り、

これを持って同ホテルから逃走した後、

間もなく、乙が丙のいる部屋に赴き丙を拳銃で狙撃したが

殺害の目的を遂げなかった本件において、

いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪は成立しないが、

窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による

強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立すると、

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

被告人による拳銃発射行為は、Bを殺害して

同人に対する本件覚せい剤の返還ないし

買主が支払うべきものとされていたその代金の支払を免れるという

財産上不法の利益を得るためになされたことが明らかであるから、

右行為はいわゆる二項強盗による

強盗殺人未遂罪に当たるというべきであり

(暴力団抗争の関係も右行為の動機となっており、

被告人についてはこちらの動機の方が強いと認められるが、

このことは、右結論を左右するものではない。)、

先行する本件覚せい剤取得行為がそれ自体としては、

窃盗罪又は詐欺罪のいずれに当たるにせよ、

前記事実関係にかんがみ、本件は、

その罪と(二項)強盗殺人未遂罪の

いわゆる包括一罪として重い後者の刑で

処断すべきものと解するのが相当である。

 

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

刑法判例コーナー

刑法の解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事