リラックス法学部 >労働法をわかりやすく解説 >労働条件、労働協約、就業規則、労働契約とは?わかりやすく解説
労働条件
労働条件とは、
労働者が使用者の下で働く際、労働者と使用者の間で
取り決められた就労に関する条件のことで、
賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、
寄宿舎等に関する条件を含む労働者の職場における
一切の待遇をいいます。
(なお、雇入れ(採用)は労働条件に含まれません)
労働基準法第一条は、
労働条件の原則について次のように定めています。
(労働条件の原則)
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
充たすべきものでなければならない。
2 この法律で定める労働条件の基準は
最低のものであるから、労働関係の当事者は、
この基準を理由として労働条件を
低下させてはならないことはもとより、
その向上を図るように努めなければならない。
「人たるに値する生活」 とは、
社会通念上の観念であり、労働者本人はもちろん、
その家族も含めて考慮されるべきものであると
判例はしています。
「この基準を理由として」とありますが、
これは労働条件の低下が
労働基準法の規定を理由にしている場合を
禁止しているということなので、
社会経済情勢の変動などといった他の
決定的な理由による労働条件の低下は、
この規定に抵触するものではありません。
労働基準法の2条では、
労働条件の決定について規定しています。
(労働条件の決定)
第二条 労働条件は、労働者と使用者が、
対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、
就業規則及び労働契約を遵守し、
誠実に各々その義務を履行しなければならない。
労働協約
労働協約とは、労働協会と使用者またはその団体との間でした
労働条件に関する合意をいいます。
就業規則
就業規則とは、使用者が事業場における
職場規律や労働条件を画一的に定めたもので、
労働者に周知させることによって、
その効力を発します。
合理的な労働条件を定めている限り、
就業規則は法的規範性が認められます。
労働契約
労働契約とは、個々の労働者が使用者との間でした
労働条件に関する合意をいいます。
労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効となり、無効となった部分は、
労働基準法で定める基準となります。
このように、労働基準法で定める基準に達しない
労働条件を定める契約の部分を無効とする
労働基準法の効力を強行的効力といいます。
また、無効とした部分を労働基準法の定めを基準とする効力を
直律的効力といいます。
強行的効力と直律的効力をあわせて
規範的効力といいます。
労働協約、就業規則にもこの規範的効力があり、
効力の力関係としては、
法令≧労働協約≧就業規則≧労働契約となります。
ですので、労働協約に定める労働条件
その他の労働者の待遇に関する
基準に違反する労働契約の部分は、無効となり、
無効となった部分、労働契約に定めがない部分は、
労働協約の基準の定める基準となります。
また、就業規則で定める基準に
達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については、無効となり、
無効となった部分は、
就業規則の定める基準によります。
なお、今回説明した労働基準監督署1条、2条は訓示規定であり、
これに違反した場合でも罰則の規定はありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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