リラックス法学部 >商法・会社法をわかりやすく解説 >商法・会社法 支配人とは?
支配人
商人・会社は
その営業所(会社の場合本店または支店)において、
その営業・事業を行う支配人を
選任することができます。
支配人を選任したときは、
支配人の登記をしなければなりません。
支配人は、営業・事業に関する
裁判上または裁判外の行為を商人、会社に
代理して行う権限があります。
「支配人」「支店長」「マネージャー」
など、業種、業態によってさまざまな呼ばれ方が
される場合がありますが、
「包括的な制限のない代理権」
を与えられていれば。
会社法上の支配人とされるのが通説
となっています。
支配人の代理権に制限を加えても
善意の第三者に対抗することはできません。
商法
(支配人の代理権)
第二十一条 支配人は、商人に代わってその営業に関する
一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
会社法
(支配人の代理権)
第十一条 支配人は、会社に代わって
その事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
支配人の選任・解任
取締役会設置会社では
取締役会または委任された執行役が、
支配人の選任及び解任を行います。
取締役会設置会社以外の株式会社では、
定款に定めがある場合以外には、
取締役が支配人の選任及び解任を行います。
支配人になることができない者
監査役は、株式会社若しくは
その子会社の支配人を兼ねることができません。
また、委員会設置会社の取締役は、
当該会社の支配人を兼ねることができません。
支配人の営業避止義務・競業避止義務
支配人はその職務に専念する必要があり、また、
会社の機密事項にも通じていることから、
特別な義務が課せられています。
商法23条に、商人の許可がなければ
することができない事項が掲げられています。
(これを営業避止義務・競業避止義務といいます。)
(支配人の競業の禁止)
第二十三条 支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自ら営業を行うこと。
二 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
三 他の商人又は会社若しくは外国会社の使用人となること。
四 会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、
当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。
支配人が競業避止義務に違反して取引を行った場合は、
支配人の解任理由となります。
また、支配人または第三者が得た利益の額を、
会社に生じた損害の額と推定し
(支配人が反証できなければ)、
会社は支配人に対して
損害賠償を請求することができます。
表見支配人
商人の営業所の主任者であることを示す
名称を付した使用人、
会社の本店又は支店の事業の
主任者であることを示す名称を付した使用人
(要するに「支配人」「支店長」
「マネージャー」営業の主任者だと思われても
仕方がないような名称をつけた使用人)は、
善意の第三者に対しては支配人と
同一の権限を持つものとみなされます。
ですから、例えば、
○○円以上の取引は本社の決済を必要とする
会社内部の規定を定めていた場合でも、
取引の相手方が善意の場合
(この内部規則を知らなかった場合)は、
取引の効果は会社に帰属することになります。
(この善意の第三者は善意「無重過失」
の者とされています。
「無重過失」ですので、
多少、過失がある場合でも
取引の安全を考慮して、
取引の効果は会社に帰属することになります。)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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