リラックス法学部 >商法・会社法をわかりやすく解説 >商法・会社法 役員の選任・解任について
役員の選任・解任
まず会社法上「役員」とは、
取締役、会計参与、監査役のことをいいます。
これらに会計監査人を加えたものを
「役員等」といいます。
役員等の選任は株主総会の普通決議によって行います。
(選任)
第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。
以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び
会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2 監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、
監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
3 第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、
役員(監査等委員会設置会社にあっては、
監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。
以下この項において同じ。)が欠けた場合又は
この法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに
備えて補欠の役員を選任することができる。
取締役の選任の場合のみ、株主は株式会社に対し、
累積投票制度の請求をすることができます。
この請求は株主総会の5日前までにしなければなりません。
累積投票とは、2人以上の取締役を選任する場合、
議決権を持つ者に選任する取締役の人数と
同じ数の議決権が与えられるものです。
例えば1の議決権を持つ者は、
3人の取締役を選任する決議で、
3票の議決権が与えられ、
その3票はまとめて1人に投じてもよいですし、
1票ずつ3人に投じてもよいということになります。
この累積投票の制度は
定款で排除することもできます。
(累積投票による取締役の選任)
第三百四十二条 株主総会の目的である事項が二人以上の取締役
(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又は
それ以外の取締役。以下この条において同じ。)の選任である場合には、
株主(取締役の選任について議決権を行使することができる株主に限る。
以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、
株式会社に対し、第三項から第五項までに規定するところにより
取締役を選任すべきことを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、
同項の株主総会の日の五日前までにしなければならない。
3 第三百八条第一項の規定にかかわらず、
第一項の規定による請求があった場合には、
取締役の選任の決議については、株主は、
その有する株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の株式)につき、
当該株主総会において選任する取締役の数と同数の議決権を有する。
この場合においては、株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、
その議決権を行使することができる。
4 前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
5 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における
取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。
6 前条の規定は、前三項に規定するところにより選任された
取締役の解任の決議については、適用しない。
選任された役員等と株式会社は
民法の委任の規定に従います。
つまり、役員等はいつでも辞任することができ、
民法653条の事由で委任関係が終了します。
(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条
株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
(委任の終了事由)
第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
株式会社は理由を問わず、
いつでも株主総会の決議によって、
役員等を解任することができます。
ただし、正当な理由なく解任された者は、
会社に対し、解任によって生じた
損害賠償を請求することができます。
(解任)
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、
いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、
その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、
解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
解任の決議は原則として
株主総会の普通決議ですが、
監査役を解任する場合、
累積投票によって選任された取締役を解任する場合は、
株主総会の特別決議が必要となります。
役員が欠けた場合、役員の員数が欠けた場合は、
任期の満了または、辞任によって退任した役員は
新たな役員が就任するまで、
役員としての権利義務を有します。
この場合、裁判所は必要と認めるときは、
利害関係人の申立てにより、
一時役員の職務を行うべき者を
選任することができます。
(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条 役員(監査等委員会設置会社にあっては、
監査等委員である取締役若しくは
それ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又は
この法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、
任期の満了又は辞任により退任した役員は、
新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、
なお役員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、
利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
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