宅建業法32条は次のように規定し、
宅建業者の広告についての規制をしています。
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、
当該広告に係る宅地又は
建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは
将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、
借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは
交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、
著しく事実に相違する表示をし、
又は実際のものよりも著しく優良であり、
若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
整理すると、宅建業者の広告の規制対象となるのは、
次の8つです。
①所在
②規模
③形質
④現在もしくは将来の利用の制限
⑤現在もしくは将来の環境
⑥現在もしくは将来の交通その他の利便
⑦代金・借賃等の対価の額もしくはその支払い方法
⑧代金・交換換金に関する金銭の賃借(ローン)のあっせん
誇大広告が禁止されるのはこれら8つの項目に限定され、
その他の事項については、誇大広告とはなりません。
広告の方法は、テレビ、新聞、雑誌、看板、インターネットなど
広告の方法は問わず、どのようなものでも対象になります。
この規定は誇大広告を行うこと自体を禁止するもので、
取引の有無や実害の有無に関係なく、違反となります。
これに違反した場合は、業務停止、情状が特に重いときは、
免許の取消しの監督処分と、
6か月以下の懲役、100万円以下の罰金または
これらの併科の罰則があります。
広告開始時期の制限
宅地建物取引業者は、
宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、
当該工事に関し必要とされる
都市計画法第二十九条第一項 又は第二項 の許可、
建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 の確認
その他法令に基づく許可等の処分で
政令で定めるものがあった後でなければ、
当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の
業務に関する広告をしてはなりません。
建築確認を申請しただけでは足りず、
建築確認後でなければ広告をすることはできません。
ですから「現在建築確認申請中」といったことを掲げて、
広告をすることは宅建業法に違反することになります。
取引態様の明示義務
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、
交換又は貸借に関する広告をするときは、
自己が契約の当事者となつて
当該売買若しくは交換を成立させるか、
代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、
又は媒介して当該売買、交換若しくは
貸借を成立させるかの別(「取引態様の別」)
を明示しなければなりません。
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、
交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、
その注文をした者に対し、
取引態様の別を明らかにしなければなりません。
広告に取引態様を明示していても、
客から注文を受けたときは、
重ねて明示しなければなりません。
明示の方法は、口頭、書面、いずれの方法によっても
することができます。
取引態様の明示義務を負うのは、宅建業者であり、
取引士に取引態様を明示をさせる必要はありません。
宅建業者の広告における「新発売」とは
宅建業者の広告における「新発売」とは、
新たに造成された宅地又は新築の住宅について
一般消費者に対し、初めて
購入の申し込みの勧誘を行うことをいいます。
ですから、大規模にリフォームした物件なども
「新発売」には該当しないので、
「新発売」と表示して広告をすることはできません。
宅建業者の広告に住宅ローンについて記載する場合
宅建業者の広告に住宅ローンについて記載する場合は、
次の事項を記載する必要があります。
・金融機関の名称もしくは称号又は、
都市銀行、地方銀行、信用金庫等の種類
・提携ローン又は紹介ローンの別
・融資限度額
・借入金の利率及び利息を徴する方式又は返済例
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
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