リラックス法学部 >憲法をわかりやすく解説 >幸福追求権 権利性肯定説 権利性否定説についてわかりやすく解説
今回は憲法に具体的に規定されていない
「新しい人権」「幸福追求権」
について説明していきたいと思います。
まずは、憲法の13条、14条を見てみましょう。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、
最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
憲法13条は、
個人としての尊重を最高の人権価値として、
その権利を保障しています。
14条以下では具体的な人権を列挙していますが、
憲法が制定されてから数十年の時が経ち、
社会の変化によって、ここで列挙されていない権利を
人権として認める必要がある場面も出てきました。
そこで、
「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を
「幸福追求権」として新しい人権を
見出す考え方が出てきました。
この考え方を肯定する意見と、
否定する意見がありますが、
判例・通説ともに肯定の立場を取っています。
肯定する立場、否定する立場について
説明していきたいと思います。
権利性肯定説
肯定説の立場では、
14条に列挙されたものは例示列挙であると考えます。
例示列挙とは、
文字通り「例えばこんなものがあります」
と例を示したもので、
これに限らず他にもあるという考え方です。
ここで明記されている権利は
歴史的に確立されたカタログにすぎず、
社会変化に伴って、
個人の尊厳の達成のために新たな人権を
認めることが必要とされるのだから、
13条は将来の新しい権利も見据えて
規定しているというふうに考える立場です。
権利性否定説
新しい人権を否定する立場は、憲法13条は、
国政のあり方や基本的人権の通則的性質を有するだけで、
プログラム的な性質しかないと考えます。
プログラム規定とは、
具体的な権利を保障するものでなく、
政治的・道義的目標と指針を示すにとどまる規定
のことをいいます。
このようにとらえる理由としては、
13条前段の国政の一般原理と個別的な権利保障が
同一条項に併存していると考えるのには違和感があり、
幸福追求権の内容も漠然としているし、
憲法には詳細な基本権規定があるので、
改めて主観的権利として「幸福追求権」を
構成する必要はないと考えます。
と、このように新しい人権として
幸福追求権を肯定する考え方と
否定する考え方がありますが、前述した通り、
判例・通説は肯定する立場を取っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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