不特定物の売買における目的物受領後の不完全履行による契約解除の可否
(昭和36年12月15日最高裁)
事件番号 昭和32(オ)1222
この裁判では、
不特定物の売買における目的物受領後の
不完全履行による契約解除の可否について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
不特定物を給付の目的物とする債権において
給付せられたものに隠れた瑕疵があった場合には、
債権者が一旦これを受領したからといって、
それ以後債権者が右の瑕疵を発見し、
既になされた給付が債務の本旨に従わぬ
不完全なものであると主張して
改めて債務の本旨に従う完全な給付を
請求することができなくなるわけのものではない。
債権者が瑕疵の存在を認識した上でこれを履行として
認容し債務者に対しいわゆる瑕疵担保責任を問うなどの
事情が存すれば格別、然らざる限り、
債権者は受領後もなお、取替ないし追完の方法による
完全な給付の請求をなす権を有し、従ってまた、
その不完全な給付が債務者の責に帰すべき事由に基づくときは、
債務不履行の一場合として、損害賠償請求権および
契約解除権をも有するものと解すべきである。
本件においては、放送機械が不特定物として売買せられ、
買主たる被上告人会社は昭和27年4月頃から
同年7月頃までこれを街頭宣伝放送事業に使用していたこと、
その間雑音および音質不良を来す故障が生じ、
上告人会社側の技師が数回修理したが
完全には修復できなかったこと、
被上告人会社は昭和27年6月初め上告人会社に対し
機械を持ち帰つて完全な修理をなすことを求めたが
上告人会社はこれを放置し修理しなかったので、
被上告人会社は街頭放送のため別の機械を第三者から
借り受け使用するの止むなきに至つたこと、
被上告人会社は昭和27年10月23日
本件売買契約解除の意思表示をしたことが、
それぞれ確定されている。右確定事実によれば、
被上告人会杜は、一旦本件放送機械を受領はしたが、
隠れた瑕疵あることが判明して後は給付を完全ならしめるよう
上告人会社に請求し続けていたものであって
瑕疵の存在を知りつつ本件機械の引渡を履行として
認容したことはなかったものであるから、
不完全履行による契約の解除権を
取得したものということができる。
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