就労前の年少女子の得べかりし利益の喪失による損害賠償額

(昭和62年1月19日最高裁)

事件番号  昭和58(オ)331

 

この裁判では、

就労前の年少女子の得べかりし

利益の喪失による損害賠償額について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

原審が、Dの将来の得べかりし利益の喪失による

損害賠償額を算定するに当たり、

賃金センサス昭和五六年第一巻第一表中の女子労働者、

旧中・新高卒、企業規模計(パートタイム労働者を除いたもの)の

表による平均給与額を基準として収入額を算定したことは、

交通事故により死亡した女子の将来の得べかりし

利益の算定として不合理なものとはいえず、

Dが専業として職業に就いて受けるべき給与額を基準として

将来の得べかりし利益を算定するときには、

Dが将来労働によって取得しうる利益は右の算定によって

評価し尽くされることになると解するのが相当であり、

したがって、これに家事労働分を加算することは、

将来労働によって取得しうる利益を

二重に評価計算することに帰するから相当ではない。

 

そして、賃金センサスに示されている男女間の

平均賃金の格差は現実の労働市場における

実態を反映していると解されるところ、

女子の将来の得べかりし利益を算定するに当たって、

予測困難な右格差の解消ないし縮少という事態が

確実に生じるものとして

現時点において損害賠償額に反映させ、

これを不法行為者に負担させることは、

損害賠償額の算定方法として必ずしも

合理的なものであるとはいえない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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