異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした債務者が譲受人に対抗することができる場合

(平成27年6月1日最高裁)

事件番号  平成26(受)1817

 

この裁判では、

異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした債務者が,

譲渡人に対抗することができた事由をもって

譲受人に対抗することができる場合について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民法468条1項前段は,債務者が異議をとどめないで

指名債権譲渡の承諾をしたときは,

譲渡人に対抗することができた事由があっても,

これをもって譲受人に対抗することができないとするところ,

その趣旨は,譲受人の利益を保護し,

一般債権取引の安全を保障することにある

(最高裁昭和42年(オ)第186号同年10月27日

第二小法廷判決・民集21巻8号2161頁参照)。

 

そうすると,譲受人において上記事由の存在を知らなかったとしても,

このことに過失がある場合には,

譲受人の利益を保護しなければならない必要性は

低いというべきである。

 

実質的にみても,同項前段は,債務者の単なる承諾のみによって,

譲渡人に対抗することができた事由をもって

譲受人に対抗することができなくなるという

重大な効果を生じさせるものであり,

譲受人が通常の注意を払えば

上記事由の存在を知り得たという場合にまで

上記効果を生じさせるというのは,

両当事者間の均衡を欠くものといわざるを得ない。

 

したがって,債務者が異議をとどめないで

指名債権譲渡の承諾をした場合において,

譲渡人に対抗することができた事由の存在を

譲受人が知らなかったとしても,

このことについて譲受人に過失があるときには,

債務者は,当該事由をもって譲受人に

対抗することができると解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事