賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう

(平成9年2月25日最高裁)

事件番号  平成6(オ)456

 

この裁判では、

賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と

賃貸人の承諾のある転貸借の帰すうについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

賃貸人の承諾のある転貸借においては、

転借人が目的物の使用収益につき

賃貸人に対抗し得る権原(転借権)を有することが重要であり、

転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、

転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、

転借人に対して目的物を使用収益させる

債務の履行を怠るものにほかならない。

 

そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を

理由とする解除により終了した場合において、

賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、

転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、

遅くとも右返還請求を受けた時点から

返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、

不法行為による損害賠償義務又は

不当利得返還義務を免れないこととなる。

 

他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、

転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、

転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、

もはや期待し得ないものというほかはなく、

転貸人の転借人に対する債務は、

社会通念及び取引観念に照らして履行不能というべきである。

 

したがって、賃貸借契約が転貸人の

債務不履行を理由とする解除により終了した場合、

賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、

賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、

転貸人の転借人に対する債務の履行不能により

終了すると解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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