リラックス法学部 >リラックス解説 > 先取特権とは?わかりやすく解説
民法の学習を始め、先取特権に出会った時に、
「わけわからん」と思う方も多いと思います。
また、民法をひと通り学習した方でも、
「先取特権ってどんなんだっけ?」
とよくわからないままの方も多いと思います。
そんなわかりにくい先取特権を
リラックスヨネヤマが限界まで噛み砕いて
解説してみたいと思います。
先取特権の概要
まず、「先取特権」というものは、
「物権」のひとつですが
どんなカテゴリーに分類されるか
概要を説明します。
ちょっと抽象的で退屈かもしれませんが、
後にわかりやすく具体的に説明をしますので、
少しお付き合いください。
まず、先取特権とは「法定担保物権」です。
法定担保物権というのは、
約束ではなく法律上当然に発生する担保物権です。
担保物権とは「借金のカタ」の事です。
先取特権には
「一般の先取特権」と「特別の先取特権」
があります。
特別の先取特権には
「動産の先取特権」と
「不動産の先取特権」があります。
一般の先取特権は
「総財産を目的にする担保物権」で、
特別の先取特権は
「特定のモノを目的にする担保物権」です。
抽象的な話が続いて
まだイメージしにくいと思いますが、
これから具体的な話に入っていきますので
お付き合いください。
今回は一般の先取特権にしぼって解説したいと思います。
(先取りできるという性質自体は特別の先取特権も同じですので、
応用して考えてみてください)
先取特権とは、文字通り「先取りできる特別な権利」です。
何から何を先取りできるのか?
それは
債務者の総財産から、債権回収を先取りできる
という事です。
一般の先取特権は総財産、
動産の先取特権は特定の動産、
不動産の先取特権は特定の不動産から
先取りできるという事になります。
民法には債権者平等の原則というものがありました。
つまり本来であれば債権者というのは平等で、
抜け駆けして自分だけが債権を先取りする事は
認められないはずです。
例えば甲が破産をして、
甲の持っているすべての財産をかき集めたら
100万円だったとします。
甲に100万円を貸していた債権者が4人いたとします。
この場合債権者4人で25万円ずつ
平等に分け合うのが原則です。
この原則に従わずに、
先取りできる特別な権利が先取特権という事です。
つまり、この4人(一般債権者)と、
先取特権のついた100万円の債権者がいたら、
この債権者が100万円先取りして、
残り4人は回収額0円で
泣いてもらうしかない事になります。
では、どんな場合に先取特権が発生するのか?
次の債権に先取特権が発生します。
先取特権の種類
1.共益の費用
2.雇用関係
3.葬式の費用
4.日用品の供給
となります。なおこの順番も重要で、
そのまま優先順位となっています。
つまり、「共益の費用の債権者」は
「雇用関係の債権者」に優先します。
共益の費用とは何かといいますと、
例えば不動産を競売にかける場合、
裁判所に費用を予納しなければならないのですが、
そういった費用を建て替えた債権者が、
売れたモノからまずその分(予納で払った分)を優先的に
回収する事ができます。
雇用関係は給料です。
倒産した会社から給料は優先的に払われるという
社会政策配慮と考えられています。
葬式の費用は葬儀屋さんやお寺が債権者となります。
ここら辺は資格試験の勉強をされている方にとっては
深く考える必要はないと思います。
(実際資格の受験用テキストにこれに関して
言及しているものもないんじゃないでしょうか)
私の勝手な想像ですと、
葬式という儀式や文化を重んじて、
それをとり行う者の保護が目的だと思います。
村八分にされても火事と葬式は
手伝うといいますからね。
関係あるかわかりませんが…。
日用品の供給は文字通りですが、
私は日用品の供給についての債権
というのがなかなかイメージしにくかったです。
日用品の買い物って、
だいたいその場で現金払いしか思いつかないので…
まあ、日用品に関して売掛金を持っていたら
先取特権があるよという事です。
という事で、先取特権のイメージを
つかんでいただけましたでしょうか?
あなたの学習のお役にたてれば幸いでございます。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事