リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 履行遅滞についてわかりやすく解説
債務者が正当な理由もなく、
債務の本旨に従った履行をしないことを
債務不履行といいますが、
債務不履行には履行遅滞、履行不能、不完全履行の
3つのパターンがあります。
今回はその中で、履行遅滞について説明していきます。
履行遅滞
履行遅滞とは、履行が可能なのに
履行の期日に債務者が履行をしない状態ですが、
「履行遅滞」という状態は厳密にいうと
次の要件を満たした場合にあてはまります。
◯履行期が到来している
◯履行が可能なのに履行しない
◯履行しないことが債務者の故意・過失など、責めに帰すべき事由に基づくこと
◯同時履行の抗弁権などがなく、履行しないことが違法であること
同時履行の抗弁権とは、
例えば売買契約などで、物の引渡しと代金の支払いを
同時にするという関係の時、
「代金をいただくまで、商品はお渡しできません」
と主張できる状態です。この主張は違法ではなく、
履行遅滞にはならないということです。
つまり、同時履行の抗弁権がないというのは、
代金の支払いは済んでいるのに、
商品の引渡しをしないというような状況をイメージしてください。
なお、代金先払いの契約など、
契約によっては始めから
同時履行の抗弁権がない契約もあり得ますので、
ご注意ください。
履行遅滞の効果
では、履行遅滞となった時、
債権者としてはどのような手段を取れるかということですが、
次のようなものがあります。
◯履行の請求
履行遅滞後も相変わらず債権者は
「商品をください」というふうに請求し続けることもできます。
◯損害賠償請求
◯契約解除
債権者が相当の期間を定めて催告をし、期間内に履行がない時は、
債権者は契約を解除することができます。
履行遅滞になったら即、
解除できるわけではないのでご注意ください。
相当の期間のチャンスを与えて、
それでも履行しない場合は解除できます。
どのぐらいが「相当の期間」かは
契約内容によって判断されます。
試験問題で「この場合、この期間は相当か?」
というような問われ方はしませんので、
あまり深追いしなくてよいです。
なお、「その日に履行されなければ意味がない」
ような債務(定期行為の履行遅滞)は、
履行不能と同じで、催告をせず即、
契約を解除することができます。
例えばお正月の親戚の集まりに
備えておせちを注文していて、
おせちが届かず、
「2月までにおせちを準備せよ」
と催告をしても意味がないわけです。
このような場合は、即解除できます。
と、今回は履行遅滞の要件と、
履行遅滞の効果について説明してきましたが、
「どこから履行遅滞になるのか?」
という点が色々問題となります。
そちらについては次回説明いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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