リラックス法学部 >民法をわかりやすく解説 > 担保権の付従性、随伴性、不可分性、物上代位性についてわかりやすく解説
今回は法律の学習が進んでいくとおろそかになりがちな
担保権の基礎を確認していきたいと思います。
これから担保権について学ぶ方も、
まずこれを読めば担保権のイメージがつかめる
と思いますので、お付き合いいただければ嬉しいです。
まず担保権とは簡単な言葉でいえば
「借金のカタ」です。
借金のカタすなわち担保権には次の4種類あります。
・抵当権
・質権
・留置権
・先取特権
このうち抵当権と質権は当事者の約束で、
借金のカタを決める担保権で、
「約定(やくじょう)担保物権」といいます。
留置権と先取特権は約束しなくとも、
法律の力で借金のカタになる担保物件で、
「法定担保物権」といいます。
これらの担保権の特徴として
付従性、随伴性、不可分性、物上代位性
といった性質があります。
今回はこれらの性質について説明していきたいと思います。
付従性
まずは付従性についてですが、
前に書いた通り、
担保権とは「借金のカタ」の事です。
この元になる借金の事を
「被担保債権」といいます。
被担保債権(借金)ありきで、
初めて担保権(カタ)があります。
被担保債権(借金)が消滅すると、
担保権(カタ)も消滅します。
「被担保債権(借金)が消滅する」とは、
つまり弁済をする事です。
「担保権(カタ)も消滅」とは、
カタを返してもらう事です。
このように、被担保債権が消滅すれば、
それに伴って担保権も消滅するという性質を
付従性といいます。
まあ、何も難しくない、
ごく当たり前の話ですよね…。
随伴性
債権は原則して
自由に譲渡する事ができます。
それでは、Aが甲にお金を貸して、
甲の不動産に抵当権を設定したとします。
その後、Aが被担保債権をBに譲渡した場合、
抵当権はどうなるでしょうか?
抵当権は被担保債権とともにBに移転します。
このように被担保債権を移転させると、
担保権もそれにくっついて一緒に移転します。
このような性質を随伴性といいます。
付従性、随伴性は4つの担保権
(抵当権、質権、留置権、先取特権)に共通する性質です。
(ただし抵当権の変化型・根抵当権は例外です。
根抵当権に関しては別の機会に説明します。)
不可分性
これは読んで字のごとく
分ける事が不可能という性質です。
担保権は被担保債権の額に関わらず
目的物のすべてに効力が及ぶ
という事です。
分割払いで借金を返していくと
被担保債権の額は小さくなっていきますが、
担保権もそれにあわせて小さくなっていくわけではなく、
被担保債権が消滅するまで、
相変わらず最初と同じ力を持ち続けます。
このようの担保権の
オール・オア・ナッシングの性質を
不可分性といいます。
この不可分性も
4つの担保権(抵当権、質権、留置権、先取特権)
に共通する性質です。
物上代位性
担保権は物権ですので、物に対する権利です。
物権は原則として、物が無くなってしまうと、
消えてしまいます。
ということは、抵当権を設定した建物が
火事で無くなってしまったら、
抵当権は無くなってしまいます。
しかし、建物の所有者が火災保険に入っていて、
保険会社に保険金を請求できるとしたら、
抵当権者は建物の価値変形物として、
この保険金請求権を差押えて弁済を受ける事ができます。
(この場合抵当権者は自分で
差し押さえる必要があります。)
このように借金のカタが形を変えた時に、
カタの持ち主に代位する事ができる性質を、
物上代位性といいます。
4つの担保権のうち、
抵当権、質権、先取特権には
この性質がありますが、
留置権には物上代位性がありません
ので注意しましょう。
という事で今回は担保権の付従性、随伴性、不可分性、物上代位性についてのお話でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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