リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 期限(確定期限・不確定期限)について解説

 

法律行為には「条件」「期限」を付すことができます。

 

「条件」とは別の回で詳しく説明いたしましたが、

発生するのが不確実なものをいいます。

 

「期限」とは、発生するものが

確実なものをいいます。

 

さらに期限をわけると、

いつ到来するか確実な場合を

「確定期限」

発生することは確実だが、

いつ発生するか不確実なものを「不確定期限」

といいます。

 

確定期限は例えば日付を

指定した場合などです。

(「期間」というものもありますが、

こちらはある時点からある時点までの

継続した時の区分をいいます)

 

不確定期限は、

「私が死んだら」「次雨が降った日に」

というような具合です。

 

期限も条件と同様に、

法律行為の効果の発生につける場合(始期)と、

消滅についてつける場合(終期)

があります。

 

つまり、

「次雨が降った日に君に

馬をプレゼントする」(始期)

 

「馬をプレゼントするけど

次雨が降った日に返して」(終期)

 

という具合です。

 

条文で確認しましょう。

(期限の到来の効果)

第百三十五条  

法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、

期限が到来するまで、これを請求することができない。

2  法律行為に終期を付したときは、

その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

 

 

期限の利益

一年後に返す約束でガーネットさんが

マーブリーさんから50万円を借りた場合、

ガーネットさんは期限までに50万円を

使えるという利益があります。

 

これを「期限の利益」といいます。

 

(期限の利益及びその放棄)

第百三十六条  

期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。

 

2  期限の利益は、放棄することができる。

ただし、これによって

相手方の利益を害することはできない。

 

条文の通り、期限は債務者

(借りたお金を返す義務を負っているガーネットさん)

のためにあると「推定」されます。

 

(「推定」なので、そうでない場合もあると

一応認識しておいてください)

 

ガーネットさんは期限の利益を

放棄することができます。

 

つまり、ガーネットさんは

一年間の時を経なくても、

マーブリーさんに50万円を返すことができます。

 

この時、利息付の金銭消費貸借契約

(お金を貸して返す約束の契約をこういいます)

だった場合、マーブリーさんは

期限まで発生する利息を受け取る利益があるので、

その利益を害することはできません。

 

つまりガーネットさんは

一年借りた分の利息を合わせて支払うことで、

自分の期限の利益を放棄し弁済することができます。

 

また、債務者が信用を失うような事態になった場合、

期限の利益を喪失する場合があります。

 

(期限の利益の喪失)

第百三十七条  

次に掲げる場合には、債務者は、

期限の利益を主張することができない。

 

一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

 

二  債務者が担保を滅失させ、

損傷させ、又は減少させたとき。

 

三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、

これを供しないとき。

 

1項は破産した場合、

2項3項の「担保」とは借金のカタのことですが、

例えば借金のカタに

ROLEXの腕時計を渡すと言っていたのに、

ROLEXの腕時計を渡さなかったり、

家を担保に入れ、

家の中でゴルフの練習をしたり、

外壁に自画像を描いたり、

ガラス窓に新聞紙を強固に糊付けしたりして、

家の価値を下げるようなことをすると、

「何やってんだ!はやく金返せ!」

とマーブリーさんに言われてもしょうがなくなるということです。

 

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