リラックス法学部 >民事訴訟法・民事執行法・民事保全法をわかりやすく解説 >執行抗告・執行異議とは?わかりやすく解説
執行法上は適法ではあるものの、
これを是認するのに十分な
実体法上の根拠が欠けている場合を不当執行といい、
現実の執行行為が手続法規に違反する執行を違法執行といいます。
不当執行に対する不服申立てとしては、
請求異議の訴え、
第三者異議の訴えがあり、
違法執行に対する不服申立方法は、
執行抗告と執行異議があります。
今回はその執行抗告と執行異議について説明していきます。
執行抗告
執行抗告とは、
民事執行の手続に関する裁判に対する
不服申立てをする手段です。
民事執行の手続に関する裁判に対しては、
特別の定めがある場合に限り、
執行抗告をすることができます。
一般的には、
民事執行の手続を取消す旨の決定、
民事執行の手続を取消す執行官の処分に対する
執行異議の申立てを却下する裁判、
執行官に民事執行の手続きを命ずる決定
などが執行抗告の対象となります。
執行抗告は、裁判の告知を受けた日から
一週間の不変期間内に、
抗告状を原裁判所に提出してしなければなりません。
(※確認…1週間という期間は
民事訴訟法上の即時抗告と同じです。)
執行抗告は、高等裁判所への抗告を意味しますが、
抗告状を提出するのは、高等裁判所(抗告裁判所)ではなく、
原裁判所です。
執行抗告は、民事訴訟法上の即時抗告と同様、
原裁判所が原裁判を更生する
「再度の考案」が可能であると解釈されています。
つまり、判断を下した裁判所に不服を申立て、
判断を下した裁判所が自ら、その内容の不備を認め、
改めることができるわけです。
執行抗告をする場合、
抗告状に必ずしも理由を記載する必要はありませんが、
理由の記載がない場合は、抗告状提出の日から1週間以内に
理由書を提出しなければなりません。
執行抗告がされても、執行は停止しません。
この点、民事訴訟法上の即時抗告をした場合は、
執行停止の効果があったことと異なります。
執行抗告を受けた原裁判所は、
執行抗告を却下することができます。
執行抗告を却下せず、また自ら更生もしないとき、
事件は抗告裁判所に送付されます。
執行抗告を却下する原裁判所の裁判に対して
執行抗告をすることもできます。
執行異議
執行異議は、執行裁判所の執行処分で執行抗告できないもの、
執行官の執行処分及びその遅滞に対してすることができます。
執行異議に申立期間の制限はなく、
異議の利益のある間は、異議の申立てが可能です。
執行異議は、執行裁判所の期日
(売却決定期日、配当期日など)には、
口頭ですることができますが、
期日における口頭の申立て以外の場合は、
書面でしなければなりません。
執行異議にも、執行停止の効力はありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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