行政行為の撤回とは

行政行為の撤回とは、

瑕疵なく成立した行政行為について、

後発的事情の変化によって、

その効力を存続させることが適当でない場合に、

原則として処分庁が、

将来に向かって効力を失わせることをいいます。

 

撤回する行政行為が

侵害的行政行為(国民の権利・自由を奪ったり、

国民が本来自由にできる活動や行為を制限する行政行為。

例えば課税処分、建築規制、交通規制、営業停止処分など)である場合は、

行政行為を撤回をしても相手方の利益を損なうものではないので、

原則として自由にできると考えられますが、

受益的行政行為(主に国民に権利を与えたり、義務を免除する行政行為。

例えば補助金の交付の決定、生活保護の決定など)の場合、

相手方の利益を奪うことになりますので、

自由に撤回することはできず、

補償が必要となる場合もあります。

 

 

行政行為の「職権取消」と「撤回」の違い

試験では、「職権取消」と「撤回」の違いが

問われやすいので、それぞれの違いをしっかりおさえておきましょう。

 

・理由の発生時期の違い

職権取消の場合は、

行政行為の成立当初から瑕疵があった場合に、

さかのぼって最初から

行政行為の効力を失わせるのに対して、

行政行為の撤回は、後発的な事情を理由に、

将来に向かって行政行為の効力を失わせるというところです。

 

「後発的な事情」とは、

例えば、公益上の必要性が生じた場合や、

行政行為の相手方の義務違反などです。

 

・権限を有する行政庁の違い

職権取消の場合は、取消できるのは処分庁だけでなく、

処分庁を監督する上級行政庁も監督権の行使として、

当然に取消権を有すると考えられていますが、

撤回の場合は、原則として

処分庁のみができると考えられています。

 

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