交通事故と被害者の自殺との相当因果関係
(平成5年9月9日最高裁)
事件番号 平成5(オ)561
この裁判では、
交通事故と被害者の自殺との相当因果関係について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
本件事故によりDが被った傷害は、身体に重大な
器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとはいうものの、
本件事故の態様がDに大きな精神的衝撃を与え、
しかもその衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、
その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、
Dが災害神経症状態に陥り、更にその状態から
抜け出せないままうつ病になり、
その改善をみないまま自殺に至ったこと、
自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には
災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく、
うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較して
はるかに高いなど原審の適法に確定した事実関係を総合すると、
本件事故とDの自殺との間に相当因果関係があるとした上、
自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして
相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は、
正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
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