自動車損害賠償保障法2条2項の「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」
(昭和63年6月16日最高裁)
事件番号 昭和59(オ)1063
この裁判では、
貨物自動車の荷降ろし作業中に生じた人身事故が
自動車損害賠償保障法2条2項にいう
「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」
によって生じたものとされるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
自動車損害賠償保障法2条2項にいう
「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」には、
走行停止の状態におかれている自動車の固有の装置を
その目的に従って操作使用する場合をも
含むものと解するのが相当である。
原審の適法に確定した事実関係によれば、
(1) 昭和54年1月30日午前7時50分頃、
原判示D製作所敷地内において、
折から被上告人の子女のもとを訪れるため
右敷地内を通行中のE(当時6歳)が、
ラワン材原木の下敷きになって死亡するという本件事故が発生した、
(2) 右ラワン材原木は、Fが普通貨物自動車
(以下「本件車両」という。)の荷台上に積載して
同製作所に運搬してきた8本のうちの一部であって、
同製作所の経営者である被上告人が、
その荷降ろし作業をするため、
フオークリフトを本件車両の側面に横付けし、
右フオークリフトを用いてこれを荷台上から
反対側面下の材木置場に突き落としたものである、
(3) 本件車両は、木材運搬専用車であって、
その荷台には木材の安定緊縛用の鉄製支柱のほか
フオークリフトのフオーク挿入用の枕木等が装置されており、
その構造上フオークリフトによる荷降ろし作業が
予定されている車両であるところ、本件事故は、
被上告人が前記フオークリフトのフオークを
右枕木により生じているラワン材原木と荷台との間隙に挿入したうえ、
右フオークリフトを操作した結果、発生したものである、
というのであり、右事実関係のもとにおいては、
右枕木が装置されている荷台は、
本件車両の固有の装置というに妨げなく、また、
本件荷降ろし作業は、直接的にはフオークリフトを用いて
されたものであるにせよ、併せて右荷台をその目的に従って
使用することによって行われたものというべきであるから、
本件事故は、本件車両を「当該装置の用い方に従い用いること」
によって生じたものということができる。
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