利益相反行為の間接取引
(昭和43年12月25日最高裁)
事件番号 昭和42(オ)1327
この裁判では、
商法第265条に違反する取引の効力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
商法265条は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において、
取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が
濫りに行なわれることを防止しようとする法意に
外ならないのであるから、同条にいわゆる取引中には、
取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反の行為のみならず、
取締役個人の債務につき、その取締役が会社を代表して、
債権者に対し債務引受をなすが如き、取締役個人に利益にして、
会社に不利益を及ぼす行為も、
取締役の自己のためにする取引として、
これに包含されるものと解すべきである。
そして、取締役が右規定に違反して、
取締役会の承認を受けることなく、
右の如き行為をなしたときは、本来、
その行為は無効と解すべきである。
このことは、同条は、取締役会の承認を受けた場合においては、
民法108条の規定を適用しない旨規定している反対解釈として、
その承認を受けないでした行為は、民法108条違反の場合と同様に、
一種の無権代理人の行為として無効となることを
予定しているものと解すべきであるからである。
取締役と会社との間に直接成立すべき
利益相反する取引にあっては、
会社は、当該取締役に対して、
取締役会の承認を受けなかったことを理由として、
その行為の無効を主張し得ることは、
前述のとおり当然であるが、
会社以外の第三者と取締役が会社を代表して
自己のためにした取引については、
取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、
会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、
相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、
立証して始めて、その無効をその相手方である
第三者に主張し得るものと解するのが相当である。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事