売買価格決定の申立て

(平成29年8月30日最高裁)

事件番号  平成29(許)7

 

この裁判では、

会社法179条の4第1項1号の通知又は

同号及び社債,株式等の振替に関する

法律161条2項の公告がされた後に

会社法179条の2第1項2号に規定する

売渡株式を譲り受けた者が,

同法179条の8第1項の売買価格の

決定の申立てをすることの可否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

特別支配株主の株式売渡請求は,

その株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社が,

株主総会の決議を経ることなく,これを承認し,

その旨及び対価の額等を売渡株主に対し通知し又は公告すること

(法179条の4第1項1号,社債,

株式等の振替に関する法律161条2項)により,

個々の売渡株主の承諾を要しないで法律上当然に,

特別支配株主と売渡株主との間に売渡株式についての売買契約が

成立したのと同様の法律関係が生ずることになり

(法179条の4第3項),特別支配株主が株式売渡請求において

定めた取得日に売渡株式の全部を

取得するものである(法179条の9第1項)。

 

法179条の8第1項が売買価格決定の申立ての制度を設けた趣旨は,

上記の通知又は公告により,その時点における対象会社の株主が,

その意思にかかわらず定められた

対価の額で株式を売り渡すことになることから,

そのような株主であって上記の対価の額に不服がある者に対し適正な

対価を得る機会を与えることにあると解されるのであり,

上記の通知又は公告により株式を売り渡すことになることが確定した後に

売渡株式を譲り受けた者は,同項による保護の対象として

想定されていないと解するのが相当である。

 

したがって,上記の通知又は公告がされた後に

売渡株式を譲り受けた者は,売買価格決定の申立てを

することができないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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