株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義

(平成24年2月29日最高裁)

事件番号  平成23(許)21

 

この裁判では、

株式移転完全子会社の反対株主がした

株式買取請求に係る「公正な価格」について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

株式移転によりシナジー効果

その他の企業価値の増加が生じない場合には,

株式移転完全子会社の反対株主がした

株式買取請求に係る「公正な価格」は,

原則として,当該株式買取請求がされた日における,

株式移転を承認する旨の株主総会決議がされることがなければ

その株式が有したであろう価格をいうと解するのが

相当であるが(前記第三小法廷決定参照),

それ以外の場合には,株式移転後の企業価値は,

株式移転計画において定められる株式移転設立完全親会社の

株式等の割当てにより株主に分配されるものであること

(以下,株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに

関する比率を「株式移転比率」という。)に照らすと,

上記の「公正な価格」は,原則として,

株式移転計画において定められていた

株式移転比率が公正なものであったならば

当該株式買取請求がされた日において

その株式が有していると認められる価格をいうものと解するのが相当である。

 

 一般に,相互に特別の資本関係がない会社間において

株式移転計画が作成された場合には,

それぞれの会社において忠実義務を負う取締役が

当該会社及びその株主の利益にかなう計画を

作成することが期待できるだけでなく,

株主は,株式移転完全子会社の株主としての自らの利益が

株式移転によりどのように変化するかなどを考慮した上で,

株式移転比率が公正であると判断した場合に株主総会において

当該株式移転に賛成するといえるから,

株式移転比率が公正なものであるか否かについては,

原則として,上記の株主及び取締役の判断を尊重すべきである。

 

そうすると,相互に特別の資本関係がない会社間において,

株主の判断の基礎となる情報が適切に開示された上で

適法に株主総会で承認されるなど一般に公正と認められる手続により

株式移転の効力が発生した場合には,

当該株主総会における株主の合理的な判断が妨げられたと認めるに足りる

特段の事情がない限り,当該株式移転における

株式移転比率は公正なものとみるのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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