第三者異議の訴えの原告についての法人格否認の法理の適用
(平成17年7月15日最高裁)
事件番号 平成16(受)1611
この裁判では、
第三者異議の訴えの原告についての
法人格否認の法理の適用について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
甲会社がその債務を免れるために
乙会社の法人格を濫用している場合には,
法人格否認の法理により,両会社は,その取引の相手方に対し,
両会社が別個の法人格であることを主張することができず,
相手方は,両会社のいずれに対しても
その債務について履行を求めることができるが,
判決の既判力及び執行力の範囲については,
法人格否認の法理を適用して判決に当事者として
表示されていない会社にまでこれを拡張することは許されない。
ところで,第三者異議の訴えは,債務名義の執行力が
原告に及ばないことを異議事由として
強制執行の排除を求めるものではなく,
執行債務者に対して適法に
開始された強制執行の目的物について
原告が所有権その他目的物の譲渡又は
引渡しを妨げる権利を有するなど
強制執行による侵害を受忍すべき地位にないことを異議事由として
強制執行の排除を求めるものである。
そうすると,第三者異議の訴えについて,
法人格否認の法理の適用を排除すべき理由はなく,
原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を
回避するために濫用されている場合には,
原告は,執行債務者と別個の法人格であることを主張して
強制執行の不許を求めることは許されないというべきである。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事