違法な新株予約権の行使による株式発行に無効原因がある場合

(平成24年4月24日最高裁)

事件番号  平成22(受)1212

 

この裁判では、

違法な新株予約権の行使による

株式発行に無効原因がある場合について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

取締役会が旧商法280条ノ21第1項に基づく

株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合に,

新株予約権の発行後に上記行使条件を

変更することができる旨の明示の委任がされているのであれば

格別,そのような委任がないときは,

当該新株予約権の発行後に上記行使条件を取締役会決議によって

変更することは原則として許されず,

これを変更する取締役会決議は,

上記株主総会決議による委任に基づき定められた

新株予約権の行使条件の細目的な変更をするに

とどまるものであるときを除き,

無効と解するのが相当である。

 

 

公開会社でない株式会社(以下「非公開会社」という。)については,

募集事項の決定は取締役会の権限とはされず,

株主割当て以外の方法により募集株式を発行するためには,

取締役(取締役会設置会社にあっては,取締役会)に委任した場合を除き,

株主総会の特別決議によって募集事項を

決定することを要し(同法199条),また,

株式発行無効の訴えの提訴期間も,公開会社の場合は

6箇月であるのに対し,非公開会社の場合には

1年とされている(同法828条1項2号)。

これらの点に鑑みれば,非公開会社については,

その性質上,会社の支配権に関わる持株比率の維持に係る

既存株主の利益の保護を重視し,その意思に反する株式の発行は

株式発行無効の訴えにより救済するというのが

会社法の趣旨と解されるのであり,

非公開会社において,株主総会の特別決議を経ないまま

株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,

その発行手続には重大な法令違反があり,

この瑕疵は上記株式発行の無効原因になると

解するのが相当である。

 

非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した

新株予約権に株主総会によって行使条件が付された場合に,

この行使条件が当該新株予約権を発行した趣旨に照らして

当該新株予約権の重要な内容を構成しているときは,

上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行は,

これにより既存株主の持株比率がその意思に反して

影響を受けることになる点において,

株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による

募集株式の発行がされた場合と異なるところはないから,

上記の新株予約権の行使による株式の発行には,

無効原因があると解するのが相当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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