偽計による自白の証拠能力と憲法38条2項
(昭和45年11月25日最高裁)
事件番号 昭和42(あ)1546
この裁判では、
偽計による自白の証拠能力と憲法38条2項について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
捜査手続といえども、
憲法の保障下にある刑事手続の一環である以上、
刑訴法一条所定の精神に則り、
公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを
全うしつつ適正に行なわれるべきものであることにかんがみれば、
捜査官が被疑者を取り調べるにあたり偽計を用いて
被疑者を錯誤に陥れ自白を獲得するような尋問方法を
厳に避けるべきであることはいうまでもないところであるが、
もしも偽計によって被疑者が心理的強制を受け、
その結果虚偽の自白が誘発されるおそれのある場合には、
右の自白はその任意性に疑いがあるものとして、
証拠能力を否定すべきであり、
このような自白を証拠に採用することは、
刑訴法319条1項の規定に違反し、ひいては
憲法38条2項にも違反するものといわなければならない。
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